第20話:嘆きの華
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『初めまして、桑原君!ぼたんちゃんから話聞いて、ずっと会いたかったんだ。よろしくね!』
「おお!?俺も蔵馬から事情は、聞いてるぜ。よろしくな。奈由さん!」
『あははっ!奈由さんとか慣れないや。奈由で、良いよ! 』
「おう!俺のことは、桑原でも桑ちゃんでも和真でも何とでも、呼んでくれや! 」
「おいおいおい。何、意気投合してんだお前ら…」
遂に対面を果たした2人は、力強く手を握り合った。
初対面でも、何となくわかる。
きっと、仲良くなれると。
そんな2人の様子を、蔵馬は微笑ましく見守っていた。
それから6人は、暫し桑原の部屋で談笑を交わした。
螢子は終始無言でいて、幽助もまた、バツの悪そうに螢子を見つめていた。ギクシャクした空気が、2人の間だけに、充満している。
『…じゃあ私、夕方からバイトだし先に帰るね』
「それじゃあ、俺も。奈由、送りますよ」
『うん…有難う』
奈由と秀一は、立ち上がり、桑原の部屋を出て玄関に向かった。
奈由は、螢子に向かい『仲直りしてよ』と、アイコンタクトを送ると、口をパクパクしながら顔を真っ赤にしていた。
「ほんじゃあ、またな!」
「気を付けて帰っとくれよ」
『有難う!桑原君、ぼたんちゃん。じゃあ、また!』
奈由は桑原達に、手を振りその場を去った。
玄関先まで見送ってくれる、ぼたん達の姿が見えなくなるまで、手を振り続けて、やっと2人きりになった瞬間
奈由は、ホッと胸を撫で下ろした。
『はぁぁ~…幽助君、目覚まして良かったぁ。それにしても…幽助君と螢子ちゃん、気まずそうだったね』
「ですね。でも、すぐに元通りになるでしょう。きっと…大丈夫ですよ」
『うん。そうだね…』
幽助君達には悪いけれど、見ているコチラとしては、少し微笑ましくもなる光景だった。
〈喧嘩するほど仲が良い〉って…
幽助君達にピッタリな言葉かも。
「奈由」
『ん、なぁに?』
秀一は、前を見据えたまま言った。
秀一に名前を呼ばれた奈由は、
その後に続く秀一の言葉を、既に予想済みだった。
「霊界探偵助手の件…どうするか決めましたか」
案の定、予想通りの言葉が返ってきた。
「…奈由?」
奈由は、ピタッとその場で足を止めた。
秀一も、また足を止めて、奈由の方を振り向く。
『………』
夕暮れのオレンジの陽が、アスファルトの道に差し込む。
この素朴で平和な、日常風景とは裏腹に、奈由の表情は、神妙で…真剣だ。
何か強い意志を感じさせるような
決意を持った、その顔。
秀一は、心して
奈由の言葉を待った。