第20話:嘆きの華
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ん…っ…」
全身が鉛みたいに…重いな。
ちょっと動かすだけでも、ビリビリと痛みが走りやがる。
俺……あれからどうなったんだ。
朱雀を…倒したよな。
それじゃあ、螢子は……
螢…子……?
「っは!?ぅっ…いってぇ!!」
現実に引き戻された幽助は、勢い良く飛び起きた。
深い眠りについて、閉ざされていた記憶が、不安と激しい痛みを伴って、襲いかかる。
「こ、ここは…?」
「おお、目覚めたか!ここは、俺んちだ。ゆっくりしてろよ」
「もう丸3日も眠ってたんですよ」
「桑原…蔵馬…」
丸3日。随分と時間が経ったんだな。
どうやら長いこと、桑原の家で世話になっていたらしい。
幽助が目を覚ましたことで、安堵の表情を浮かべる桑原と蔵馬だが、どこか余所余所しい。
その反応に、幽助は更なる不安に駆られた。
「おい!螢子は…奈由は、ぼたんは…どうした!?あれからどうなったんだ!?」
「あっ…」
あからさまに表情が曇る桑原達。
何も語ろうとせず言葉を閉ざした2人の反応に、幽助は、強い苛立ちを感じた。
「お…おい!どうなったのかって聞いてたんだよ!!黙ってたら、分かんねぇだろうか!!!おい!!」
「お邪魔しま~す!あれ?な~に大声出してんだい?幽助」
「………は?」
身を乗り出して、桑原の胸ぐらを掴んだタイミングだった。
ぼたんと螢子、そして…奈由が、部屋の扉を開けて現れた。
至って元気そうな3人の姿に、幽助は呆然とした。
「な…何で…お前ら…」
「ぶっっ…くく…ぅははは!!もう少し脅かしてやろうと思ったのにな!」
桑原は我慢ならず、吹き出すように笑った。蔵馬も口元を抑えて堪えられない様子。
幽助を揶揄おうと蔵馬と計画していたらしいが、どうやら成功のようだ。
「冗談にしても、シャレにならないと言ったんですが…」(でも止めない蔵馬)
「てっっめぇら…皆して、俺を揶揄いやがって…信じらんねぇ!!」
螢子達が無事だったことへの安堵よりも、見事嵌められてしまった恥ずかしさで噴火寸前の幽助。
奈由は、今にも桑原に襲いかからんとする幽助を、クスクス笑いながら、肩を叩いて宥めた。
『ふふ。まぁまぁ幽助君。皆無事だったし、良かったじゃない!ね?』
「うぐっ…けどよぉ…」
「おぉお!?アンタってもしかして…奈由さんか!?」
握りしめた拳の行き場を失った幽助を押しのけて、桑原が奈由の方に満面の笑みを向けた。
奈由もまた、それに応えるように、笑顔を浮かべて頷いた。