第20話:嘆きの華
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
奈由は、ふと…自分の右手の平に視線を移した。
『ぁあっ…』
その手には、螢子とぼたんの血がベッタリと付着していた。
大切な友達が
傷付けられた証が…
手の平いっぱいに
赤く、残る。
ああ、せめて
また、剛鬼を倒した時のように
この手から…結界を張ることができたら。
どうか、もう一度
あの時のようにもう一度
結界を…張れたら!!
「グ…ゥはハハッ!何だその手は?前に突き出して、それで抵抗しているつモりか!?」
『っ…どうして…』
ダメだ。全然、出来る気がしない。
以前と同じように、右手を前に突き出してみるものの、結界が張れる気配はない。
妖力が上がってきているとは言えど
所詮、まだ安定していないんだ。
ーーーなんて…力不足。
奈由は、自身の力のなさに打ち拉がれた。
もう、ここまでか。
「もうお前ラハ終わりだ…死ねェェェエエエエ!!!!!」
岩本が手に持つハサミを、再び大きく振り上げた。
今度こそ、確実に討つように。
『い…いやぁぁぁぁ!!!』
絶望と覚悟と恐怖の想いを、心に交錯させながら
奈由は、2人の身体をギュッと強く引き寄せて
ーー目を、閉じた。
『……え…』
待てども、一向に身体に痛みが走らない。
奈由は、恐る恐る瞼を開いた。
『ど…いうこと…』
開いた瞼の向こう側は、狂気満ちていたはずの人間達が、その場に倒れて気絶する光景が広がっていた。
殺される覚悟をしていた奈由は、突然の展開に、ただ呆然としていた。
『どうなって…』
状況が掴めないが、1つだけ分かったことがある。
私達ーー…助かったんだ。
だが、奈由の膝の上で、力尽きて横たわる負傷した、2人の少女の姿に視線を移すと、堪えていた箍が外れて…奈由は、ポロポロと涙を零した。
『っ…ぅ…うぅ……』