第20話:嘆きの華
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『螢子ちゃん…あ、有難う…!』
「どうしよ!?先生殴っちゃった!」
「気にしない気にしない!ほら急ごう!!」
螢子の活躍により、3人は無事に事務室を脱出。
再び、出口を探すため走り出す…
しかし
『っあ…!』
「さっきよりも、人数が増えてるんじゃないかい!?」
廊下には、更に豹変した人間達が集結していた。明らかに人数が増えていて、奈由達だけでは、太刀打ちの術がない。
『っ…囲まれてる…!』
「う、嘘…」
気が付けば、奈由達の後方にも人間達が迫っており、完全に板挟み状態となっている。
そうこうしているうちに、岩本も意識を取り戻した。
絶体絶命のピンチ。
「雪村ァァ…ァァ…よくも…やってくれたな…グォオオオ!」
「やっ…いやぁああ!!」
ザシュッ!
一瞬の隙をつかれた。
岩本は、左手に隠し持っていたハサミを振り翳し、螢子に向かって攻撃を仕掛けた。
「っつう…!!」
『け、螢子ちゃん!!』
螢子の左腕にハサミの刃が擦れ、腕から真っ赤な鮮血が流れた。
体制を崩し、その場に倒れこんだ螢子の傍に、奈由が必死に駆け寄った。
『螢子ちゃん!し、しっかり!!』
「うぐっ…つぅ…ううぅ…」
痛みで顔を歪める螢子。
傷口からは、瞬く間に血が溢れて、床がどんどん、血塗られていく。
「螢子ちゃんに……なんてことすんのさ!!このっ…!!」
ぼたんは怒りの頂点に達し、気持ちの赴くまま、人間達に殴りかかった。
だが、この大人数の敵相手に勝てるわけもなく…
「っづ!きゃあぁあっ!!」
ぼたんは、額を強く殴られた。
『ぼ……たんちゃん!!』
額からを血を流して、気絶したぼたんは、力無く床に横たわった。
螢子を抱えたまま、身動きの取れない奈由は、横たわったぼたんの服を掴み、身体を引き寄せると、自身の膝の上に、ぼたんの頭を乗せて寝かせた。
『ぼたんちゃん…ぼたんちゃん!!ねぇ!しっかりして!!』
倒れた螢子とぼたんを、抱えて座り込む奈由は、あまりの恐怖に震え上がり、目に一杯の涙を溜めていた。
「ググッ…お前らはモう終わりダな」
不敵な笑みを浮かべた人間達に、遂に四方八方囲まれる。
完全に逃げ場を失い、ただその場に呆然と座り込んだ。
『そ、そんな……』
南野君から、無茶はしないでって
言われたのに…
まさか
こんな事になってしまうなんて。