第20話:嘆きの華
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『螢子ちゃん』
奈由は、螢子の手を握りしめた。
螢子の手は、小刻みに震えている。
そうだよね。
本当は…不安で一杯なんだよね。
『大丈夫だよ。ここから出る時は、3人一緒だからね』
「奈由ちゃん……」
「そうそう。こんなところで、何もしないで逃げるなんて、そんなの性に合わないよ。螢子ちゃんが何と言おうとアタシも奈由ちゃんも、ここで引き下がるほど、根性座ってないんだよ?ふふっ」
螢子の手を握る、奈由の手の上に、ぼたんも手を重ねた。
優しく微笑む奈由とぼたんの表情に、グッと涙がこみ上げるが、螢子は堪えて、笑顔で2人を見つめた。
「有難う。奈由ちゃん…と、えっと、それから…」
「え?…あ!そういえば、まだ名前も言ってなかったね。アタシは、ぼたん。ぼたんちゃんって呼んどくれよ」
『あれ?2人は、面識あったんじゃないの?』
「いや、幽助と一緒にいる時に少し会った程度でさ…」
「そうだ!幽助!ねぇ、幽助は…今どこで何をしているの?」
『「え!?」』
「妖怪を退治に行ってるよ!」と、言えるわけもなく…
ぼたんと奈由は、挙動不審に目をキョロキョロと動かしながら、何とか必死に誤魔化そうとした。
『そ、それは話せば長くなって…』
「え?奈由ちゃんも、幽助と知り合いだったの?」
『あ…そ、そうなの。実はね、ちょっと前に会ってさ…』
「ええ!?どうして言ってくれなかったの!?いつの間にそんな…」
「け、螢子ちゃん!?その話はまた今度、ゆ~~っくりお茶でも啜りながらす」
ガタガタガタッッ!!
事務室の扉が、大きく揺れた。
3人は瞬時に、扉の方へ視線を送ると
岩本率いる、大勢の人間がゾロゾロと事務室前に立っている気配を感じた。
「ユギムラァ…ここにイるンだろ…分かってルんだゾぉ…?」
扉越しから聴こえてくる、岩本の声に、3人は、ゴクッと息を飲んだ。
どうにかして…この場を切り抜けないと!
「雪村ァ…開けなさい。先生の言うことが…聞ケナィノか?」
岩本の問い掛けに答える声もなく、辺り一帯は、静寂に包まれた。
しかし
ガンガンガンッ!!バンッ!!バン!
「フハハァハハ!無駄だ無駄だ無駄ダァ!!こちらから開けてやるゾ!そこで待っテロ雪ムラァ!!」
岩本達は、あらゆる道具を使い、力の限り扉を叩き壊そうとした。
容赦ない勢いで、扉は見る見るうちに破壊されていく。