第20話:嘆きの華
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「しかし、養殖人間全てを倒しきるまでずっと足止めされるのは、時間の無駄ですね…。俺達もそろそろ最上階を目指しましょう!」
「んぐぐっ…仕方ねぇか…!オイ!チビ!足引っ張んじゃねぇぞ!?」
「それはこっちの台詞だ」
「んだとテメェごるぁ!?」
3人は喧嘩をしつつも(主に2人が)四聖獣の親玉“朱雀”のいる塔の最上階へと向かうことした。
一足早く、幽助だけが朱雀の元に向かっており、おそらく今頃は、朱雀と激戦を交わしているはず。
幽助に対しての心配は勿論のこと
蔵馬は、人間界に残した奈由のことが…何より心配でならなかった。
彼女は、華奢で女性らしい見た目とは裏腹に、意外なほどタフで、自分を力を過信しすぎて、無理をする節がある。
キャパオーバーであったとしても、誰かのためならばと…火水も厭わない姿勢をみせる。
「蔵馬、行くぞ!」
「あ、ああ…」
奈由。
どうか、無事でいてくれ。
くれぐれも、無理のないように。
『全然……追いかけてこなくなった』
「どうやら、敵を巻けたみたいだね」
時刻は、20時を回っていた。
真っ暗闇に包まれた校内には、恐ろしいほどの静けさが広がっている。
3人は事務室に身を潜めて、ホッと息を漏らした。
『螢子ちゃん、大丈夫?』
「うん…大…丈夫」
「何言ってんだい。顔が真っ青じゃないか」
無理もない。
突然、狂気じみた人間達が、自分に襲い掛かってきたんだ。
怖くないわけがない。
「アイツら、今はまだアタシ達がここにいることに気が付いていないはずだよ。少し休んだら、脱出できる場所を探そう。ね?」
「逃げて」
『え?』
「2人だけでも……逃げて」
神妙な面持ちで、ぼたんと奈由を、見つめる螢子。
冗談で言っているようには到底思えない、凛とした表情だ。
『螢子ちゃん、何を言ってるの?』
「バカ言わないどくれよ!こんな状況で、螢子ちゃんだけを置いて行けるはずがないじゃないか!」
「でも、アイツらの狙いは、私だけなんでしょう?私がアイツらを引き付ける。だから2人は、その間に逃げて!」
懇願する螢子の姿は、必死そのもの。
ぼたんと奈由を、これ以上巻き込まないように、自分だけが犠牲になろうとしている。
だが、奈由の心も
そして、ぼたんの心にも
逃げるという選択肢は…存在しない。