第19話: 乙女の迷い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「はっ…はぁっ…はっ」
螢子は、震える足を必死に動かし、岩本から逃れるために、学校から抜け出そうと校門に向かった。
しかし
「な、何この人達…!?」
行く手を阻むように、複数の人間達が校門の前に立ちはだかっている。
その人達もまた、岩本と同じく、異常なまでの狂気さを放っており
明らかに普通でないことが、見て取れた。
「ゆ…き…むぅらぁぁぁ…」
気が付けば、岩本が直ぐ傍まで近づいてきている。
板挟みになってしまった螢子は
方向転換し、その場を逃げ出した。
「待てぇぇ…!!雪村ぁぁあ!!」
「い、いやぁああ!!」
恐怖心で押し潰されそうになりながら、螢子は必死に前だけを見据えた。
額に汗を滲ませ、瞳には涙を溜まらせ
何故、どうしてこんな事になっているのか?
自問自答しながら、全く理解できない状況下で必死に走り続けていた。
「はぁ…先生達…見えなくなったわ…」
自転車置き場に辿り着いた螢子は、何とか岩本達を振り切ることができ
ホッと胸を撫で下ろし、脱力してその場にしゃがみ込んだ。
「一体、何がどうなってるのよ…?何故こんな…んんっ!?」
一瞬の出来事だった。
しゃがみ込んだ場所に、生い茂っていた木々の中から、突然に腕が現れて螢子は、そのまま草木の茂みへ引きずり込まれた。
先生達に見つかってしまったんだ!
と、覚悟したのも束の間。
腕の正体は、意外な2人組。
螢子は驚きのあまり、大きな声を上げた。
「奈由ちゃん!?ど、どうしてこんな所に!?」
『しっ!螢子ちゃん、大きな声出しちゃダメ!』
「螢子ちゃん、もう大丈夫だよ。落ち着いて」
奈由、そして…ぼたん。
突如として現れた、2人の姿に張り詰めていた緊張が解け、涙をボロボロ流しながら、螢子は奈由に抱き着いた。
「奈由ちゃん…っ…ぅっ」
『大丈夫。大丈夫だからね…螢子ちゃん』
震える螢子を奈由は、強く抱きしめた。
だが、ここにずっと、留まるわけにはいかない。
「螢子ちゃん、色々説明したいとこだけど、今は時間がない。あいつら、明らかに螢子ちゃんを狙ってる。急いで逃げないと!」
『螢子ちゃん、立てる?』
「う、うん…」
どうして、自分がこんな目に合っているのか分からないけれど
岩本先生達が自分の命を狙っている…
ということだけは、螢子も十分理解していた。
そしてここに留まっていては、いずれ見つかってしまうことも、分かっている。
『行こう、螢子ちゃん!』
2人の救世主に抱えられながら、螢子は再び走り出す。
地獄のような時間はまだ…始まったばかり。
~続く~