第19話: 乙女の迷い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
焦点の合わない、うつろな表情を浮かべた人間達。
奈由達には一切目もくれず、皆同じ方向へと歩いている。
『この人達、一体どこへ向かってるんだろう…?』
「…も、もしかして!?」
人間達の歩く方向に、心当たりがあるのか、ぼたんが慌てだした。
ぼたんの緊迫した表情に、奈由は嫌な予感を感じた。
『ぼたんちゃん、分かるの?』
「あっちは…幽助の学校がある方向だわ」
『皿屋敷中!?でも、幽助君は学校には居ないのにどうして……』
その瞬間。
ふと、頭の中に
ある人物の存在が過った。
同時に、嫌な予感が益々募っていき、血の気が引いていくのを感じた。
あの学校には、私の大切な友達がいる。
螢子ちゃんが、いる。
『螢子ちゃん…!!』
「っ…とにかく、私達も皿屋敷中を目指そう!急いで!!」
『う、うん!』
2人は、同時に駆け出した。
心臓がバクバクと跳ね上がるのを感じながら、全力でその場所を目指す。
皿屋敷中へ…!!
「さてと、生徒会の資料作ろうかな」
生徒会室に西日が差し込み、部屋中がオレンジ色に染まる頃、螢子は1人、誰もいない生徒会室に居た。
時折、頭の中に、幼馴染の幽助の存在がチラついて、作業の手が止まってしまう。
「……幽助ったら、学校にも来ないで何してるのかしら?」
ふと窓の外を眺めながら、呟く螢子。
せっかく、生き返ったっていうのに…学校にも登校しないで…一体、何やってるのよ。
たまには、一緒に
登校したいのにな。
ーーーーバンッ!!
「へ!?」
扉が勢い良く開いた音が、部屋中に大きく響き渡り、おもわず肩がビクッと跳ねた。
扉の方を見つめると、そこには皿屋敷中の教師、岩本が立っていた。
「岩本先生…どうされたんですか?」
「雪村ぁぁぁ…」
「せ、先生?」
「早く帰って…勉強しろと言っただろう…?」
岩本の声のトーンは…あからさまに、異様で
螢子は、その異変に嫌な予感を感じた。
すると岩本は、突然腕を大きく振り上げて
「う…うおおおおおおお!!」
「ひっ…きゃぁあ!!」
ガシャーーーン!!
けたたましい雄叫びをあげながら、素手でガラス窓を割った。
拳から血飛沫を流しながら、発狂するその姿は、衝撃的な狂気ぶりで、螢子は慌てて、生徒会室を飛び出した。
「先生の言う事が聞けない生徒は死んだ方が良い!!いいや!!死ぬべきだ!!!ぐはははは!!!」