第19話: 乙女の迷い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
揺れ動く乙女心は
答えを求めては
答えを見つけて
時に、答えを失って
いつまで経っても、落ち着くことのない彷徨いの森。
ぼたんと奈由は、再び動きだしながら
そんな淡く揺れ動く心を語り合った。
「おーい!浦飯、早くしろよ!」
「桑原…ちゃんと前見てねぇと転んじまうぞ!」
「何言ってんだよ!?いつどこから四聖獣が襲ってくるか分からねぇぞ?さっさと前へ進もうぜ!?」
薄暗がりの一本道を、男達4人が突き進む。
果敢に先陣を切って歩むのは、幽助の同級生、桑原一真。
その後方をマイペースに歩く、飛影。
さらにその後方を、幽助と蔵馬が肩を並べて歩いている。
奈由達と通信してからというもの、蔵馬の様子がどうもおかしい。
常に思考を巡らせていて、時折小さな溜め息も漏らす。
心配になった幽助は、蔵馬に声を掛けた。
「蔵馬…大丈夫か?」
「ん?ああ…大丈夫。すまない、心配掛けてしまって」
「いや、良いんだけどよ」
そこから暫し、沈黙が続いた。
幽助は、蔵馬の様子を伺いつつ、タイミング見計らって、芽生えてしまった好奇心を蔵馬に投げ掛けた。
「蔵馬と奈由って…付き合ってんのか?」
「え?」
「いや、別に答えたくなかったら良いんだけどよ。何か、奈由のこと…すげぇ大事にしてるように見えたからさ」
蔵馬に気を使いつつも、期待をしながら答えを待つ幽助。
蔵馬は、幽助からの突然の問い掛けに対して、少し間を空けてからフッと笑みを浮かべて答えた。
「…付き合ってないですよ。ただ、大切には…想っていますね」
「つまり、奈由が好きってことか?」
「…どうなんでしょう」
「はぁ?」
彼女と、俺には相違点がある。
それは
俺が【蔵馬】として、今を生きているのに対して
奈由は…木花ではなく
【奈由】として
今を生きている、ということ。
彼女はまだ、木花の存在を理解できているようでいて、できていない。
本当は、木花と自分が同一人物だということにも、ピンときていないだろう。
それでも、奈由が必死に
木花の存在を受け入れようとしている事も見て取れる。
彼女の心の苦悩は、俺さえ計り知れないものだろう。
そんな奈由に対して
ストレートに、木花への想いをぶつけてしまうのは…きっと、彼女の心を乱すだけ。
とは、わかってはいるのにな…
つい、色々心配してしまって…
余計な口出しをしてしまう。
どうしたものだろうか。