第19話: 乙女の迷い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『どうなんだろうね』
「ど、どうって?」
『秀一君は私が大切なわけではない…のかも』
「へ…?」
彼が
必死で私を守ろうとする度
私は嬉しくもあり、苦しくもある。
妖狐蔵馬は、木花と、再び出逢うため
南野秀一として、生まれ変わった。
誰よりも、木花を愛してた。
大切なのは、私じゃなくて
私の中にいるもう1人の存在。
木花が、大切なんだろうなって。
『彼は、怖いんだと思う。また危険な目にあって、大切な人を失ってしまうことが。だから必要以上に心配してくれる。でもそれって…あくまで木花の事が心配なだけで…私の事はそうでもないのかなって。そう考えたら、ちょっぴり悲しいなぁ…ははっ』
乾いた笑いに、覇気のない口調。
考えれば考えるほど、頭の中はグチャグチャで、いつまでたっても答えの出ない、堂々巡り。
どうして、こんなに苦しい。
頭では、全て理解しているはずなのに。
「蔵馬が、そう言ったの?」
『え?』
「木花は大切だけど、奈由ちゃんは大切じゃないって…蔵馬が言ったのかい?」
『そうではないけど…』
真剣な表情で問いかけられて、一瞬ハッとした。
確かに、今語ったことは
私の憶測であって、秀一君から直接言われた言葉ではない。
「私には、蔵馬は奈由ちゃんの事を凄く大切に想ってるように見えたけどな?木花の事もそりゃ大事だろうけどさ…でも蔵馬の瞳は、真っ直ぐに奈由ちゃんを見つめてたじゃないか」
『そうかな…』
「奈由ちゃん。色々混同して考えちゃダメだよ。考えても答えが出ないことに気を揉んでたって、ロクなことないんだから!」
バシッ!と大きく背中を叩かれた。
喝を入れられたようで、背筋ピシッと正されて、真っ直ぐになった。
ぼたんちゃんの元気が注入されたようで、滅入っていた気持ちもフッと軽くなる。
「どうせなら本人に直接聞いちゃえば?私と木花どっちが大事なのよ~!ってね」
『ええ?それって、凄く重たい女の典型じゃない?』
「そんなことないない!面倒くさがられたらビンタしてやんな!私の気持ちを弄ぶな~!アンタは私のもんだって!バチーンって!」
『何かそれって、私が秀一君のこと好きみたいじゃん!』
「は!?好きなんじゃないの?何で!?違うの!?」
『いや、好きだけど…いや、そういう好きじゃ…あぁぁぁ~もう何が何やら…』
「ふーん。なるほど、青春真っ只中の乙女は、何かと悩ましいねぇ」