第19話: 乙女の迷い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『秀一君、ごめん。助手の件、コエンマさんには断りを入れたけど…やっぱり、もう一度よく考えてから決めたいの。だから、ぼたんちゃんに同行させてもらって、少しでも助手の仕事を理解したい。危険なのは分かってる…だって…私はそれを覚悟の上で、妖怪である事実を受け止めるって決めたんだよ?』
秀一君は、怖いんだ。
彼は、後悔と失意を、誰より知っているから。
私が傷付くのを…恐れてる。
私を、失うことを。
ーーーだけど、それはーーー
『私、ちゃんと自分として…群青奈由としての答えを出したい。上手く言えないけど、今はそういう気持ちなの』
奈由は、精一杯に想いを伝えた。
そうして蔵馬は、拙いながらも、必死に紡いだ奈由の言葉を…何も言わずに、静かに聴いた。
「…無茶はしない。良いですね?」
『え?』
「敵は、手強いです。俺もすぐに駆け付けられるような距離にいない。もう一度、言います。無茶はしない…約束してください」
『秀一君…!有難う!有難う!!』
奈由は、パッと晴れやかな顔を秀一に向けた。
秀一は、口角を少し上に上げるだけの、小さな笑みを浮かべた後、隣でオドオドしながら見守っていた幽助にコンパクトを手渡し、モニターから姿を外した。
「ほいじゃ!また連絡するね」
「お、おう。またな…」
最後はぼたんと幽助が挨拶を交わし、通信を終了した。
『「はぁぁぁぁ~~…」』
コンパクトを閉じると、ぼたんと奈由は、同タイミングで大きな溜め息を吐いた。
何とも言えぬ空気感のまま、2人は顔を見合わせた。
「ごめんね、奈由ちゃん。蔵馬、けっこう怒ってたね」
『ぼたんちゃんが謝ることないよ!私が自分で、ぼたんちゃんに付いて行くって決めたんだから!むしろ、巻き込んじゃってごめんね…』
「巻き込まれただなんてそんなこと思ってないよ!でも、あんなに心配して、蔵馬は奈由ちゃんの事が、本当に大切な………?」
ふいに見つめた、奈由の表情に、ぼたんは、言葉を失った。
なんて…切なくて儚げな、顔。
その表情の奥に、どんな想いが眠っているのか、想像もつかず
ぼたんは、静かに奈由を見つめた。