第19話: 乙女の迷い
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どうして、幽助君と一緒にいるの?
どうして教室に戻らなかったの!?
あれから、コエンマさんと何を話したの!?
…と、山ほど質問したいところだけど、とてもじゃない。
質問したところで、答えてくれる雰囲気でもない。
『えっと、あの…それが…色々と…ありまして…』
しどろもどろになりながら、どうにか言い訳を探そうとする奈由。
その様子を、横から見守るぼたんさえ、とてもバツが悪そうに表情を歪めている。
「ぼたんと一緒にいるという事は…人間界が、今どういう状況なのかを、奈由も知っているんですね?」
『え…あ、はい。ひと通り事情は…把握しました』
「それなのにも関わらず…自宅へ帰らず、そこに居ると…」
冷静なのに、恐ろしいほど責めの強い尋問を受けて、奈由は、おもわずモニターから目を背けた。
申し訳なさそうに顔を晒す奈由の表情に、秀一は小さく溜息を漏らした。
「はぁ…貴女って人はどうして…」
『ご、ごめん…』
「一体、何のためにコエンマからの申し出を断ったんですか。必要以上な干渉は、出来る限り避けてもらわないと…」
『だ、だって放っておけないよ!それに助手の事も本当はね…正直まだ悩んでて…』
「酷な言い方だが、今の君は足手纏いになるだけだ。一刻も早く…家に帰った方が良い」
足手纏い。
そう言われて、胸の奥がズキッと痛んだ。
私がいると助かると、ぼたんちゃんは言ってくれたけど…でも実際に、何かピンチな状況に陥ったら…私は戦えるだろうか。
本当に、ただの足手纏いなだけかも。
「あの~蔵馬?私から奈由ちゃんにお願いして、ついて来てもらったようなものなんだよ。さっきだって、私が敵に襲われた時、奈由ちゃん1人で敵を倒してくれたんだよ?足手纏いになんてならないさね!」
すかさず助け舟を出してくれた、ぼたん。真剣なトーンで、蔵馬に向かって話を続けた。
「私が口出しするのもなんだけどさ…奈由ちゃんの事は奈由ちゃんが決めるべきだろ?蔵馬の気持ちも分かるけど、少しは信用してあげても良いんじゃないかい?」
ぼたんの言葉に、蔵馬は暫し沈黙を貫いた。
一層、静けさが増していく空間で、奈由は、勇気を振り絞り、今の自分の気持ちを吐露し始めた。