第18話:霊界からの知らせ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ぼたんはホッと胸を撫で下ろし、安堵の表情を浮かべた。
『それにしても妖気を感じてここに辿り着いたのに、どうして人間が…ぼたんちゃんを襲ってたの?』
奈由は、倒れる男に視線を送った。
どこからどうみても人間だ。
ただ…何となく肌の血色が悪いというか、何かに取り憑かれでもしたような、嫌な印象は受ける。
すると、うつ伏せに転がっている男の身体を、ぼたんが仰向けに寝かし直した。
『ぼたんちゃん、何してるの?』
「…こいつの、口の中を見てごらん」
神妙な面持ちで言うぼたんの姿に、一抹の不安を感じつつも、奈由は、恐る恐る男の口元に目を向けた。
『うっっ!』
想像だにしていなかった悍ましい光景。
男の口の中から、ノソノソと這い出てきた一匹の虫。
得体の知れない虫が人の口の中から現れるという、ショッキングな光景に、奈由はおもわず仰け反った。
「この虫は、魔界虫。湿った陰気な心を好む、魔界の寄生虫さ。この虫に寄生された人間は、破壊、暴力、殺害などを引き起こし、豹変してしまうんだよ」
『私が感じた妖気の正体はこれだったの…?』
「うん。この虫が、街一帯に数千匹放たれたんだ。こいつを何とか全滅させないと…人間界は大変なことになってしまうんだよ」
衝撃的な言葉の数々に、奈由は言葉を失った。
一体、どうして…こんな状況に。
「私はこのまま虫退治を続ける。奈由ちゃんは、家に帰って外出は控えてね。普通の人間には虫の姿は見えないけれど…ご家族や友人達にも、出来るだけ外出は控えるように、伝えてあげとくれよ」
『え…1人で退治しに行くの?幽助君は、どうしたの?』
「幽助はこの虫を、人間界に放った妖怪を倒しに行っている。だから、私は1人で…虫退治を続けるよ」
凛とした表情で言う、ぼたんは
その表情の奥で不安を押し殺していた。
襲われたのが余韻からか、手が震えている。
だけど、どんな状況でもけっして挫けないその姿勢は、奈由の目に、とても美しく、輝かしく映った。
『怖く…ないの?』
「え?」
『たった1人で退治するなんて、不安じゃないの?さっきみたいに、また寄生された人に襲われるかもしれないのに!』