第17話:初めて呼ぶ、君の名
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ーーー真実から目を背けようとすれば、するほど
私のまわりでは、次々と妖怪に纏わる出来事が起き続けた。
木花の力を感じることだって、少なくなかった。
無いものとして生きるのはーーーもう、無理なのだ。
抗うだけでは、何も変わらない。
それなら、私は全て受け入れた上で、群青 奈由として生きていく。
『…といっても、今のところ、木花だったことは何も思い出せないんだけどね。でも、ちゃんとこの現実は前向きに受け入れていって………あれ?』
前ばかり見据えて、話してたから気付かなかったけど
よく見たら南野君…ちょっと不機嫌そう!?
な、何で!?嬉しくないの!?
『え?南野君…お、怒ってる?』
「………」
険しい表情を浮かべ、一点を見つめ考え込む南野。
南野君は、きっと喜んでくれる。
そう思っていたのに…その表情は、どう見ても喜んでる様には見えない。
想像と違っていたその反応に、奈由は戸惑い、しどろもどろになった。
『あ、あの…その…』
「…本当に、それで良いんですか」
『え?』
長い沈黙の末、口を開いた南野は、奈由の方へと向き直し、真剣な眼差しを見せた。
「それはつまり……今後、また危険な目に晒されるかもしれないということです。それで、良いんですか?貴女は……奈由は、その覚悟ができているんですか?」
『南野君…』
「もし…その決断が、俺の〈ため〉などという理由であれば、俺は反対します。確かに、奈由の妖気は短期間で驚く程増幅し、本来の力をいつ取り戻してもおかしくない状態ではあります。だけど、今ならまだ妖力を低下させられることだってできる。自ら危険な道を進まなくても…良いんだ」
正直に言えばーー嬉しい。
受け入れてくれるという事は
今後も、君の傍にいられるのだから。
だけど…
このまま、更に妖力が高まれば
きっと、木花の記憶を…少なからず思い出す。
君は後悔しないだろうか。
一族を捨てた自分を、責めないだろうか。
その決断が、今後の君に悲しみを齎すようであれば…
絶対に、やめた方が良いんだ。
君に、その覚悟が
『あるよ』
「っ…」
『覚悟はーーーできてる』