第17話:初めて呼ぶ、君の名
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ーーー奈由
南野君の声で呼ばれた、私の名前。
友人や家族から、呼ばれ慣れているはずなのに
南野君に呼ばれると…
とてつもなく、新鮮で
なんて、倖せな響きなことか。
『南野君って、もしかしてエスパー?』
「え?」
『あ、や、何でもない』
名前で呼ばれたい
本当は、心の奥底で望んでた。
木花ではない、私の名前で。
こんなに、嬉しいことない!!
『全然…全然、良いよ!むしろ、苗字で呼ばれるよりも、名前で呼ばれた方が嬉し…………うん、嬉しいです』
「良かった。じゃあ、早速………奈由」
安心したように笑う南野が、真剣な眼差しで奈由を見つめた。
なにこれ。
すごい破壊力。直視できない。
奈由は、これまでにないほど顔を真っ赤にし、両手で顔を覆った。
「どうしました?奈由」
『なんか……とんでもなく照れる』
「ははっ、どうして?友人達からもそう呼ばれてるじゃないですか」
『そうだけど、そうなんだけど!でも…』
アナタに呼ばれるのは…特別に感じるから。
そう言いかけて、奈由は言葉を飲み込んだ。
今の私にそれを伝えるのは、あまりにハードルが高すぎる。
その勇気はない。
だけど、奈由は
これを機に南野君に、ある事を、伝えなければいけないと決心していた。
今がそのチャンスかもしれない。
『南野君。あのね…私も伝えておきたい事があるんだけど』
「…何ですか?」
南野は食べ終えた弁当をしまい、話に聴き入った。
奈由もまた、食べ終わった弁当箱をしまった。
『南野君から前世の話を聴いた時…正直信じられなかったし、信じたくなかった。とても、怖かったの。そして、そんな私の気持ちを南野君は汲んでくれた。だけど…』
「……だけど?」
『私、考えたの。木花、蔵馬、妖怪のこと……知ってしまった以上は、もう切り離して考えるなんて無理。だからね、全部…受け入れた上で、これからは生きていこうって…そう決めたの』