第17話:初めて呼ぶ、君の名
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ーーキーンコーンカーンコーン…
「よし。行って来い!」
『ありがとう。沙希、明日香』
「大丈夫。私達も、後からついてい」
『ついてこなくて大丈夫だ!』
沙希に、髪を綺麗にしてもらい
明日香にリップを塗ってもらう。
理緒からの尾行は、一刀両断で拒否し
優からは優しい眼差しで見送られた。
『行ってきます!』
4人に見守れ、奈由はお弁当と水筒を手に持って屋上へ出発した。
生徒達の快活で賑やか声が校内中に響き渡るお昼休み。
その声を掻き分けるように奈由は1人、緊張した面持ちで屋上に続く階段を上がっていく。
『ふぅぅぅ~…』
大きな深呼吸を何度も繰り返し、いよいよ屋上の前まで到着した奈由は、意を決して、ドアノブを捻った。
ガチャ…
『わ…』
扉を開けると、青々とした空に出迎えられ、ふんわりとした風に全身を包まれた。
心地の良い陽気のおかげで、緊張した心が少し和らいでいく。
そして…
金網にもたれながら、奈由を待つーーー彼の姿。
ああ、やっぱり
彼の姿が目の前にいる、それだけで
今までに感じたことのない
不思議な想いが込み上げる。
胸の奥に感じるその想いは、まるで春のように温かい。
『南野君…!』
彼の名前を呼びながら、一歩づつ近付いていく。
彼もすぐ奈由に気が付き、小さく手を振った。
「ごめん。屋上って勝手に決めてしまったけど、ここで良かったかな?風…強くないですか?」
『全然、大丈夫!お天気も良いし、むしろここで良かったよ』
「……良かった」
照れつつも、無邪気に笑う奈由。
その笑顔につられ、南野も優しく微笑んだ。
『と、隣…失礼します』
「もちろん、どうぞ」
遠慮がちに南野の隣に腰掛け、持ってきたお弁当の包みを広げた。
同じく、南野も購買で買った弁当の蓋を開けた。
『いただきます…』
「いただきます」
礼儀正しく手を合わせて、2人は一口目を口に運んだ。
……それから、二口目に入っても
何故か2人は、無言のまま。
な、なに…これ!?
緊張して、上手く喋れない!
聞きたいことはいっぱいあるはずなのに!
って、ていうか…
な、何で南野君まで黙ったままなの~!?