第16話:月夜の願い 後編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「謝らないで…ください」
『え…?』
「君は、何も悪くない。全て俺の責任なんです。君を、危険な目に合わせたのも…俺が、君への未練を断ち切れなかったことが1つの要因ですから…」
君という未練を残して
この世を去る決意をしたにも関わらず
俺は
君と…
やはり、離れる覚悟ができなかった。
「君が暗黒鏡に、共に手を翳してくれた時、君を再び死なせてしまうと思い、とても怖かった。だが……それなのに……なのに、俺は…」
嬉しかった。
そう、感じてしまったんだ。
生半可な想いでは決してなく
君も覚悟を持った上で、暗黒鏡に手を翳してくれていることが…犇々と伝わってきた。
君と俺はまた
気持ちを…通わせられるんだと…
『南野君』
「え……」
奈由は、両手で優しく包み込むように南野の頬に触れた。
視線を重ね合わせ、瞳の中に互いを映し出す。
南野の瞳に映る奈由は、温かい笑みを浮かべた。
『今は何も考えないで…大丈夫だよ』
自分を、責めるのも
自分の行動を、後悔するのも
過去を振り返るのも
もう、必要ない。
『私も南野君も……それに志保利さんも、生きてるんだよ』
今は、それだけで十分。
私達には、また新しい
〈明日〉が用意されたのだから。
『今はもうそれで十分。だから…もう…大丈夫だから、ね?』
「…っ……」
奈由は、華奢な身体で
南野の全てを包み込むように抱き締めた。
もう、大丈夫。
何度も何度も、耳元で囁きながら
彼を優しく、目一杯抱きしめた。
「ありがとう…」
南野は、強く抱き締め返した。
再びこの世に生まれ落ちたような倖せを噛み締めながら
全てが終わり、始まっていく
そんな時の流れを、感じながら。
〜続く〜