第16話:月夜の願い 後編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『ふぅぅぅぅぅ~…』
強張っていた身体が脱力し、大きなため息を漏らした。
横たわった幽助は、しっかりと息をしている。
間の抜けたポージングで倒れこむ姿は少し可愛らしく、しばらく見ていたい気もしたが、奈由は、幽助の身体をポンポンッと優しく叩いた。
『幽助君、幽助君。起きて?』
「う、う~~ん?奈由……?」
幽助は重たい瞼を、ゆっくりと開き、視界に映る奈由の名前をボソッと呟いた。
ゆっくりと身体を起こし、虚ろな表情で問いかけてきた。
「お前何でまた…ここにいんだ…?あれ?蔵馬は?」
『南野君はお母さんの病室に行ってるよ。身体どう?何ともない?』
「あ~?あ~…うん。大丈夫…だ…」
まだ頭が働かないのか、何とも気の抜けた返答を返す幽助。
だが、ジワジワと頭が冴えてきて
本来の目的を思い出し、突然慌て出した。
「そ、そうだ!!!!暗黒鏡はどうなったんだ!?」
キョロキョロと辺りを見回すと、探すまでもなく、暗黒鏡は床の上に転がり落ちていた。
幽助と奈由は、恐る恐る暗黒鏡に近づき、鏡の中を覗き込んで見た。
〈お前達の行為に免じ、命なしでも願いを叶えてやることにした…〉
鏡はそう言い残すと、何の変哲もない、ただの鏡に戻った。
幽助は鏡を手に取ると、ホッとした表情を浮かべた。
『良かったね、幽助君。無事、取り戻せて…』
「ああ………って!お前な!!また危ないところに首突っ込みやがって!!あのまま、鏡に命を取られてたらどうすんだよ!?わかってんのか!?」
『ご、ご、ご、ごめん!だ、だってさぁ…』
「ったくもう~…何でお前は、危険な場所にいつも来るんだよ。本当、冷や冷やさせんなよな…」
ーーそんなやり取りを、幽助君と交わした後
幽助君は、暗黒鏡を手にその場を去った。
私はというと…屋上を後にし、5階へと向かった。
「奇跡だ」「これで一安心だ」と
安堵の言葉を漏らす医者と看護婦の声が、5階の廊下に響き渡っていることで
志保利さんが無事であることを確信した。
今頃きっと、南野君は親子水入らずの時間を過ごしているはずだし
首を突っ込んではいけない。
と、そう思いつつも…
どうしても、少しだけ
彼の姿を、この目で見たくて
私はこっそりと病室の中を覗いた。