第16話:月夜の願い 後編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ーーーバンッッッ!!
けたたましい鈍い音が、その場に鳴り響いた。
屋上の……扉が勢いよく開いたその音に、素早く反応する南野と幽助。
電撃と黒ずんだ靄に包まれた南野達の視界には、2人のよく知る、1人の少女の姿が映し出された。
ーー俺の目の錯覚なのか…?
思考が一瞬にして止まってしまうほど、意外なその人物。
『南野君!!』
扉の前に立つ奈由は今にも、鏡に吸い込まれてしまいそうな南野達の側へ駆け寄った。
奈由に名前を呼ばれたことで、止まっていた思考が、再び働き出す。
その少女が木花、もとい群青 奈由だと分かった瞬間
柄にもなく、南野は大声を上げた。
「な…何しに来た!すぐ離れろ!!」
「奈由!?何でお前が…」
『南野君!こんなこと、志保利さんは絶対望んでないよ!私だって…くぅっ…!』
奈由は、最後まで言いきる前に、暗黒鏡へ自身の手も差し出した。
そのゾッとする行動に、南野と幽助が更に声を荒げた。
「な…やめろ!!すぐ離れるんだ!」
「奈由!?おめぇまで…っ…何考えてんだ!?手を退けろ!死ぬぞ!!」
『いやだ!絶対に…退かない!!うぅぅうぅ~…!!』
鏡に寄る3人の手を伝い、電撃と息の詰まりそうな靄が、全身を廻り包んでいく。
突風の中にでもいるような、息苦しさを感じ
いよいよ、意識が薄れかけていく。
その最中で奈由は…
力を振り絞るように…叫んだ。
『……私だって、南野君に死んで欲しくない…!まだ……一緒にいたい!!』
「えっ………」
「うわっ!」
「うぐっっ…!」
『きゃっっっ!!』
目の前に…光が溢れた。
3人の叫び声は…響くこともなく、掻き消え
そして
意識は、そこで途絶えた。