第16話:月夜の願い 後編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『……よしゃっ!』
奈由は、病院の自動ドアを潜り抜けた。
面会時間、診察時間共に、終了した病院は消灯されて真っ暗。
人気のないフロアは、独特の不気味さを放っている。
身の毛のよだつ雰囲気に、おもわず尻込みしそうになるが、気合いで歩みを進める。
『まずは、志保利さんの病室に行ってみよう…』
奈由は、1階に停留していたエレベーターに乗り込み、501号室へと向かった。
ーーチンッ
5階へ到着し、エレベーターのドア開くと、瞬時に、その場の様子がおかしい事に気が付いた。
「早く!準備して!」
「はい!!」
医療機器を乗せたワゴンの車輪が、勢い良く音を立てて、目の前を通過していった。
慌てる医師と看護婦の声に、奈由の胸に一抹の不安が過り
ドクンドクンと、妙な音で心臓が跳ねる。
奈由はエレベーターを降り、医者達が慌ただしく入っていった病室へと向かった。
その場所は……501号室。
『…志………志保利さん!?』
「あ、こら!何してるんですか!?関係者以外立ち入り禁止です!」
そこが501号室だと分かった瞬間、奈由は、すぐさま病室の中へと入った。
しかし志保利へ近付こうとしたところで、ナースに押さえつけられ止められた。
『志保利さん!志保利さん!!』
目の前には、無数の管に繋がれた志保利の姿。
息を荒げて苦しそうで…名を呼んでも、反応してくれない。
そしてここに、南野の姿は…ない。
『あの…南野秀一君は!?志保利さんの息子さんは、どこにいるんですか!?』
「秀一君ならさっきまで居たはずなんだけど…どこに行ったのかしら?まったく!お母さんがこんな状態だっていうのに…!」
呆れた口調で言うナースの言葉で
奈由は、瞬時に悟った。
ーーーー鏡を…使う気だ!