第15話:月夜の願い 前編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それから程なくして、入院する母の見舞いのため
いつもの様に、病院を訪れた。
病室に着いて早々、神妙な面持ちの主治医に別室へと通された。
母の恋人である畑中さんにも同席してもらい、先生の話を聴く事となった。
先生の表情から、大体と想像と覚悟はできていた。
「南野さんは、このままではあと1ヶ月もたないでしょう」
「ぅっ…くっっ…」
畑中さんは隣で涙を流したが、俺は淡々と医者の話を聴きながら、今後の治療方針について話し合った。
医者や畑中さんからすれば、冷たい息子に見えただろうか。
涙も流さない、息子なんて。
だが、涙を見せる必要なんて…俺にはない。
母さんを助ける術を…俺は持っているのだから。
「三大秘宝を盗む仲間になれ。蔵馬」
突然、俺の部屋に姿を現したのは、古くからの…仲間、飛影。
特別、驚く事もない。
部屋に勝手に上がり込んでくるのは、この日に限ったことじゃない。
玄関から律儀に入って来るタイプでもないので、あえて窓はいつも開けている。
そんな飛影から、霊界の三大秘宝を盗む話を持ち掛けられたのは、母の余命宣告を受ける数日前。
3つある秘宝のうちの1つ、暗黒鏡。
満月の日に効力を発揮し、持ち主の望みを、何でも叶えてくれるといわれている。
その鏡さえあれば、俺は母さんの病気を治すことができる。
俺は、飛影からの誘いに、二つ返事で了承した。
「いつになく、素直だな、蔵馬。まあ良い。お前の働きに期待するぜ」
上機嫌で飛影は、去った。
悪いな。飛影。
俺は、暗黒鏡さえ手に入ればそれで良い。
この鏡の力を使い…助けてみせる。
たとえ、その代償が《自分の命》でも。