第14話:月夜の訪問者
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「奈由ちゃん…」
心配そうに名前を呼ぶぼたんの声さえ、霞んで聴こえてくる。
すると、コエンマは容赦なく言葉を続けた。
「死亡した状況を考えれば、君と蔵馬がどういう関係であったかは容易に想像がつく。その上で単刀直入に聞こう。まさか…蔵馬と共犯で、暗黒鏡を盗んだのではあるまいな?」
『そ!そんなわけないじゃない!!』
声を荒げ、叫ぶように言った。
降って湧いたように疑いをかけられ、奈由の怒りは頂点に達した。
『彼の存在は…知っています。でも自分の前世が妖怪だって…事も…最近になって理解したばかりで、思い出した訳でもない!そんな自分が覚えてもない記憶を、貴方から色々言われても…受け止めきれないしっ…!それに……』
それに…彼は…南野君は…
『彼は!決して悪い人じゃ…悪い人なんかじゃ、絶対にない!!!』
彼が、盗みを働いていたとしても
それは、絶対に何か理由があるはずなんだ。
「コエンマ様。お言葉ですが…奈由ちゃんは、決してそんな事をする子ではありません」
暫く口を開かずにいた、ぼたんが力強い声で訴えた。
その様子に、奈由は
俯いていた顔を上げ、ぼたんを見つめた。
「蔵馬に関してはまだ調査が必要ですが、彼女は、私や幽助が剛鬼に殺されそうになった時に、身を呈して助けてくれています。そんな彼女が…盗みに加担したとは私には到底思えません」
『ぼたん…ちゃん…』
ぼたんの力強い言葉と力強い目を見つめるコエンマは、暫く何かを考えた後、首を縦に振った。
「……確かにな。剛鬼からぼたん達を守ってくれたことも、また事実。霊界や人間界を統括する身として、事実は確認せねばならなかった身故、変に疑いをかけてしまった。すまなかった」
先ほどまでの厳しい目に、少し緩みを見せるコエンマ。
その表情に、奈由は、少し心の緊張を解いた。
「しかし…となると、蔵馬が何の望みを叶えたくて暗黒鏡を盗んだのか、さっぱり分からんな…。何か心当たりはないのか?」
『え…』
そういえば、剛鬼や南野君達が話していた時
暗黒鏡は、願いを叶えてくれるとか何とかって言ってたっけ…。
『…何も…聞いてはいませんけど…』
「ふむ…参ったな」