第13話:母と子の絆
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
奈由は、カーテンを開けた。
そこには、見るからに優しそうな、物腰の柔らかい女性の姿があった。
痩せ細ってはいるが、とても美しくて綺麗な方だ。
この人が…南野君のお母さん。
『あっ……床拭きますね!』
奈由は、鞄からハンカチを取り出し、咄嗟に床を拭いた。
「あ、そんなダメよ。あなたのハンカチが汚れちゃうわ…!」
『いいえ、大丈夫です。洗えばいいだけなので』
よかった。ベッドに水は掛かっていなさそう。
コップも割れていないし。
奈由は、床から
十分に水気を拭き、綺麗にした。
『コップには、お水を入れれば良いですか?』
「え、ええ…」
『じゃあ洗って、新しく入れ直してきますね』
奈由はコップを片手に、洗い場へ向かった。
念入りに洗い流し、新しい水を入れ直す。
『はい。どうぞ』
「まぁ…本当に何から何まで…申し訳ないわ…」
『いいえ。そんな…この位何ともないです』
「…ありがとう」
南野の母は、優しい微笑みを浮かべて
奈由から、新しい水の入ったコップを受け取った。
「あの…もし時間があるようなら、どうぞ、その椅子に掛けてちょうだい」
『あ……ありがとうございます』
ベッドの隣に置かれた椅子。
少し遠慮がちに、奈由はその椅子に腰掛けた。
「その制服…もしかして、盟王学園の生徒さんかしら?」
『あ、はい。そうです』
「あら、やっぱり。実はね…私の息子も盟王に通ってるの」
南野の母は、嬉しそうに微笑みながら言った。
『南野…秀一君の…お母様ですよね?』
「あら!秀一のこと、知ってるの?」
『はい。同級生なんです…それで、あの…』
床に置いた鞄のチャックを開くと、ガサゴソとプリントを取り出した。
『先生から、このプリントを南野君に渡すように頼まれたんです。
お家まで伺ったんですけど、いらっしゃなかったので…もしかしたら、病院かなって…』
南野に、直接渡すはずのプリントが、思わぬ形で南野の母に手渡すことに。
南野の母は、それを受け取ると、嬉しそうな笑顔を見せた。
「まぁ…わざわざ。本当にありがとう。まさか、秀一にこんなに可愛らしくて、こんなに優しいお友達がいるだなんて…とっても嬉しいわ」
『いやいや、そんな!…そんなこと全然ないです!』
「何言ってるの。今時こんなに素敵なお嬢さん中々いないわ。本当に…凄く嬉しいわ」
あ…お母さんの表情…やっぱり、南野君に似てる。
南野君は妖怪かもしれないけど
でもこうして
お母さんの顔を見ていると
やっぱり、彼は
人間の子供なんだな…と実感する。