第12話:温もり
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「君が謝る必要なんて…1つもない」
『…え……』
耳元に近い場所で、囁くように言う彼の言葉が
とても、力無く感じた。
「妖気がこれほどまでに高まったのも…首の怪我も…全て、俺の責任です」
何も、話していないのに
首の怪我の訳に気が付いていた。
おそらく、首から少なからず、剛鬼の妖気を感じ取ったのだろう。
『っ、違うよ…!南野君は悪くない。南野君は…私の妖気がこれ以上高まらないようにって距離を置いてくれてたのに…それなのに…』
それなのに
私は、南野君のことが、気になって仕方なくて
わざと、A組の前を通ったり
剛鬼に近づいたり
自分勝手に…行動をしてきた。
それがどうしてなのか…自分でも理解ができなかった。
だけど…南野君の腕に抱かれて
その理由が、何となく分かった気がする。
『私、心のどこかで…南野君のことを…ずっと探してたのかも…』
私の中の、木花がそう想うのか。
それとも、奈由が想うのか。
それは、まだわからないけど。
『もう…関わらないって…心に決めたばかりだったのに…ごめんっ……』
私を抱く、南野君の腕に、私の涙がポロポロと溢れて、制服を濡らしていく。
悲しくて、泣いているんじゃない。
この腕の中が懐かしくて
ただ、懐かしくて
…今まで感じたことのない、幸福感で満たされ涙が止まらない。