第12話:温もり
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『………』
「………」
静かな部屋の中に、2人きりの時間。
何も、喋らない。
何も、しない。
向かい合っていないおかげで、目を合わせないで済むのは幸い。
手の中におさまるコロッケパンを前に
ただただ、お腹が空くばかり。
「……どうぞ」
『へ!?』
「どうぞ、食べてください」
こんな空気で、そんなことを言われると、何だか拍子抜けした。
既に、用意された昼ご飯を目の前にして、断る隙も理由もない。
『じゃ、じゃあ…』
ガサガサッ
静かすぎる部屋に、ラップの包みを剥がす音が響き渡る。
包みから、姿を現したコロッケパンを、奈由は一口食べた。
ああ、やっぱり美味しい…。
この美味しさを『おいし~い!』と言葉にして表現したいのに
長いこと距離を置いていたのだ。
そんなことを言える仲でもなければ、そんな雰囲気でもない。
気まずさと緊張に、ひたすら黙り込んでしまう。
「…昨日」
『へ!?』
「どうして、浦飯幽助と一緒にいたんですか」