第11話:溢れた葛藤
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『確認して…おきたいこと?』
ぼたんの目は、真剣そのものだった。
真実を見極めようとするその目に、奈由は一抹の不安が過ぎる。
「単刀直入に聞くよ。奈由ちゃん、あんた…妖怪だね?」
…妖……怪。
『っ…』
ぼたんの言葉で、奈由は咄嗟に顔を背けた。
ぼたんは、変わらず真剣な眼差しで奈由を見つめながら
続けて話した。
「さっき、幽助が持っていた腕時計があったろう?あれは妖気計といって、妖怪を探す道具なんだ。昨日は、私があれを身につけていたんだけど、初めて奈由ちゃんに、会った時に、わずかだけど…妖気計が、アンタに反応したんだ」
次々と聞かされる衝撃的な、言葉の数々に奈由は黙り込んだまま、俯いた。
「それに、奈由ちゃんの手から放たれたあの力…あれは結界だった。妖怪にしか出せない技だよ。これは…どういうことなんだい…?」
ぼたんは、淡々と話した。
怒鳴らず、責めず、ただずっと、奈由からの返答を待ち続けた。
ーーーどうしたらいいの?もう。
妖怪か、どうかなんて
私が…私が…
『…そんなの…私が、知りたいくらいだよ…』
「え?」
やっと奈由の口から
聞けた言葉は、ぼたんの疑問に対する、返答でも何でもなく、ただ自身の不安を吐露する言葉だった。
『自分が人間なのか…妖怪なのか、分からないの。人間のはずなのに……でも…突然…自分が妖怪だって…確信する瞬間もあって……手から…私…うっぅぅ…』
「ちょっ、奈由ちゃん…」
心の中で、何かが崩壊したのか奈由の目から、大粒の涙がポロポロと流れた。
言葉はグチャグチャで、伝えたいこともまとまっていない。
だがそれは、おそらく奈由自身の
心の中に潜む闇を投影した言葉なのだと…
ぼたんは、確信した。
「奈由ちゃん、変なこと聞いてごめんね。そんな、泣かないどくれよ?」
『うっぐ…ごめんね…何も…本当にわからなくて…わた…し…が何者なのか…っ…』
「大丈夫だよ。ほら、落ち着いて」
…きっと、誰にも
打ち明けられなかったのだろう。
姿は、人間なのに、その身に纏うオーラは
まるで、妖怪そのものだ。
聞きたいことは山程あるが、ぼたんは奈由を
それ以上、捲し立てることはなく、自身の中で1つの解釈を得た。
例え、妖怪であっても
この子は…絶対に、敵なんかじゃない。