『Please Please stay by my side forever.』
「それじゃ、何か考えといてあげるわ。
とはいえ、特に見せたい物もないんだけど、どこか行きたい所無いの?」
「そうだな…じゃあ、全部終わったら、帰りがけに姉さんの実家に行きたい。無事に帰ってきた後なら、別に怒られないだろ?」
「そりゃそうだろうけど…なに、あんたも来るの?」
「えっ、いけない?
だって、傭兵オライオンとシーデーといえば、海を挟んだアバロンにもその名を轟かす伝説の戦士じゃないか。そりゃ、会ってみたいよ」
確かに、メディアの両親は名の知れた傭兵だ。
同じ剣士として会ってみたい気持ちも分かるが、メディアの頭にはある懸念事項があった。
「別に良いけどさ…親父に半殺しにされる覚悟があるなら」
「えっ?なんで?」
「…会えば分かるよ」
ロナルドは不思議そうな顔をしたが、メディアはそれ以上は言わなかった。
「さて、約束したからには、生きて帰らなきゃ承知しないからね。
あとそれから、これからは"姉さん"って呼ぶの禁止」
「なんで?」
「あんたね…これだけ関係持っておいて、まだアタシを姉御扱いする気?」
「…それもそうか」
親友のピーターがそう呼ぶことから、ずっと「姉さん」と呼び慕い続けて来たが、ここまで進展した関係でそう呼ぶのも、なんだかおかしい。
「じゃあ、"メディア"って呼ぶことにする。それが、一番無難かな」
「そうだね。アタシの方は、今まで通り"ロン"にしとくよ。
…それにしても、この関係がバレたら、ピーター辺りは跳ね上がって驚きそうだね」
「アハハ、まったく」
笑いあって、抱き合って…どちらからともなく、唇が重なる。
外では、少しずつ昇り始めた太陽が、静かな街にようやく影を落とすほどになっていた―。