『Please Please stay by my side forever.』
「さあね。とりあえず、アタシとしては戦士として骨埋める人生しか用意してないわけ。人間らしい生き方なんか考えらんない。
仮に、あんたと結婚したって、余所の奥さんみたいな良妻賢母になんかなれないよ。子どもだって、今からじゃ産めるかわかんないし」
ロナルドは、メディアの言いたいことをやっと飲み込んだ。
ただし、文字通り飲み込んだだけで、腑に落ちないままだったが。
「姉さんが嫌なら、結婚なんかしなくたって良い。これからもアガタやピーターと一緒に戦うなら、それでも。オレも一緒に戦うよ」
「…あんた、それで良いの?」
「どんな未来を思い描いたって、机上の空論に過ぎない…そんなの、なんだって同じじゃないか。
なら、その時幸せな生き方をしていけば良い。オレはそう思うけど」
ロナルドの言葉に、迷いは無い。
メディアは、なんだかその口振りがおかしくて、声を上げて笑った。
「なんで笑うんだよ」
「あんたが、本気だからね。なんかおかしくて」
「オレだってたまには、真面目なことも言うって。
ってか、オレ本気だから。姉さんがオレのこと好きでいてくれるなら、オレ絶対生きて帰るから」
「だから、そうやって不吉なこと言うんじゃないっての」
運命は、幸せの直後、どん底の不幸に陥れたがる。
心が通った直後に、死によって引き裂かれてはたまらない。
そんなことは、よくある話…それでも、メディアは何かを信じてみたくなった。
「そこまで言うんじゃ、なんか約束しようじゃないか」
「約束?」
「そ。無事に生きて帰って来たなら…お互いに、相手の要望を聞いてやろうじゃない。
アタシは、ちょうどダグラスの春祭があるから、そこであんたに何か買ってもらうとするわ」
ロナルドは「そんなので良いの?」と首を傾げるが、メディアはただ頷いた。
「だからほら、あんたも何か決めなさい」
「えっと、それじゃ…ダグラスの街を案内してよ。オレ、カンバーランド来たの初めてだし、姉さんが育った街を見てみたい」
「…そっちこそ、そんなんで良いの?そんなに面白いものもないよ?」
「良いよ。オレは一緒に居られれば、それで」
…まったく、欲があるんだか無いんだか。
メディアは心の中でそう呟いて、後ろから回された腕をギュッと抱いた。