古びたオルガンの見る夢の
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「ところで所長、まだ解決してないことがありますよね?」
帰りの馬車の中。3人だけになった車内で、グスタフが言った。
事務的なことを学長と話し合った後、教職員用の食堂で夕食をご馳走された。
「もう遅いから」と、学園の客室に泊まっていくことも勧められたが、日付が変わる前には帰れるからと、馬車を出した。
午前中、自分の学校を終わらせてから来たテオは、移動時間もあって疲れたのだろう。馬車に乗り込むなり、兄の肩にもたれる形で眠ってしまった。
その髪を撫でながら、アデルは「やっぱり、気づいてたか」と苦笑する。
「人の声のように聞こえたのは、オルガンの音。それを鳴らしていたのはミアさん。慌てて脇のドアから出たから、犯人が分からなかった。……では、鍵が掛かっていなかった正面のドアが開かなかったのは、何故なのか。
それに所長、帰り際に学長に言ってましたよね。『またオルガンが鳴るようなことがあったら、連絡して下さい』と。普段の所長なら、解決したことに次があるかもしれない、みたいなことは決して言いませんよね。心配を増やさないように」
「……さすがグスタフ、違和感は逃がさないな」
「まあ、伊達に国内唯一の精霊学者の秘書はやってませんよ」
くい、と眼鏡を押し上げるグスタフに、アデルも「ホントに、お前に隠し事はできないな」と笑った。
