「Heros」

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ーーーー私の名前は、フェルナンド












ーーーーかつてバレンヌ帝国の軍人、重装歩兵だった男だ。











ーーーー・・・いや、今となっては過去の話だな。

今は軍を離れた一平民にすぎない。寧ろ本来の姿に戻ったといえようか・・・・・・











ーーーー今日は何故か、昔のことがやけに鮮明に思い出される。













ーーーーそう、あれは・・・・・・・










ーーーー子供の頃、




ーーーー子供心に“偉大な英雄”になりたいという夢があった頃・・・・・












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ーーーー私の家は特に名前の知れた人物などを輩出した“由緒正しい”家系などではない。
どこにでもいる平民、一般の家庭だった。



父は帝都アバロン市街地に住む大工。

母は内職をして家計を支える主婦、といったところだ。


私は2人兄妹の兄にあたり、3歳違いの妹がいた。


特に裕福でも貧乏だったわけでもない。
生きていくのに苦を感じない、本当に平凡で幸せな家庭だった。











ーーーー子供の頃から腕白で近所の子供の中でもガキ大将的な存在だった私は、
年頃の少年がやりそうなイタズラは殆どやりつくした、と思っている。


父も母も、気弱で優しい妹も何だかんだとそれを許し又は頼ってくれたことが、今更ながらに心地よかった。












ーーーー9歳の時、



私は帝都アバロンにある“幼年学校”に入学する。


そこは貴族から平民まで出身・階級問わず
青年として一人立ちするために必要なことを修める教育の場。


第2代皇帝のジェラール大帝治世下で創立され、これまでも名だたる政治家・軍人・学者を輩出している。


正門前広場には初代レオン帝の騎馬銅像。


中庭の噴水には大理石に刻まれた、“学校創立の父”術士アリエスの座像が鎮座している。


こういう独特な緊張感の中で勉強するには、

私とスネイル、キグナスといった

“毎度おなじみ、イタズラ三人組”

は、あまり似つかわしくなかった。



この時のスネイルとキグナスの腐れ縁が、
後の我が人生を大きく左右することになるとはなーーーーーーー




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