「Glory」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



―――――“少年”がその光景を目の当たりにしたのは彼が7歳の頃。
父親に連れられてバレンヌ帝国の首都アバロンの表参道を歩いていた時だった。






ーーードン、ドン、ドン・・・・・



「あれっ・・・・・」



突然辺りに響いた初めて耳にする太鼓の音に、ふと少年は足を止めた。
連れ立って歩いていた父親もその場で周りをきょろきょろと見回すと、無言で息子に指である方向を指し示す。
少年も父親に続いて示された方向に向かった。







「――――――元帥閣下に対し、敬礼!!!!」




ーーーーザッッ・・・・



少年は眼前で繰り広げられる初めての光景に言葉を失った。

帝都中央を走る表通りからやや外れた街路上。
既に周辺では人垣は生まれ、現在起こっている状況に視線を向けていた。



そんな彼等の視線の先、
ある邸宅前で路に端に沿って整列した銀色の鎧兜で身を包んだ兵士が一斉に槍を胸元まで掲げ、
傍らに位置する数名の騎上兵も軍刀を眼前から右斜めへと振り下ろした。


それを合図に整列する兵士達の傍らで、6名の兵士が銀を基調にした軽装で太鼓の前で腕を振り、
少年から見て奥待った場所では太鼓の鼓手同様の装備ながら様々な楽器を手にした楽手達が指揮者のタクトに合わせて壮厳なーー少年が初めて耳にするーー曲を奏でている。


周りの人垣から一切の喧騒はなく、
少年同様無言で前方の情景を見つめていた。


1/12ページ
スキ