「Heros」

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重装歩兵フェルナンドーーーーー




名も無き大工という平民の家から軍人に立身、

様々な戦歴を経て最後には1平民としてその生涯を全うするーーーーー











遺言により彼の葬儀は平民として質素に、とのことだったが、


当日小雨交じりの中、
かつての部下や鷲の巣遺族が多数参列し、
その数1000人近くに達するーーーー





生前彼は全ての勲章・栄誉を返還又は辞退していたが、

葬儀当日 皇帝ポールは勅命を発し
元・軍人フェルナンドを
正式に“帝国元帥”に列する。

彼の棺には授与されたばかりの“元帥杖”が納められることになった。




『ーーーー彼の贖罪は要塞“鷲の巣”の名誉回復を果たしたことにより成されたものだと信ずる。

元帥号追贈は、
生涯軍人として戦い続け、外敵から国土を防衛した勇将の功績を称えるものである』


皇帝ポールの勅命の一節である。



この勅命が僅か1日で発せられた理由。

それは“鷲の巣”守備隊の公式な名誉回復の日に、親友スネイルへの帝国元帥追贈に合わせて勅命は既に用意されており、

全ての名誉を辞退していたフェルナンドの意思を知る皇帝ポールが文面の日付を空白にして、手元に温めていたからである。



後年描かれていくフェルナンドの肖像画の大半は軍装のものだが、その全てに元帥杖がある理由はこれに由来するーーーー










フェルナンドの死から1年半後、
ポール帝は彼の娘ウィーゼルを妻に迎え、正式に皇后として冊立。


これによりフェルナンドは“皇帝の義父”となる。





『私にとって貴方は父同然の存在だった。
ようやく今日から貴方を正式に父と呼べる』(結婚式後のポールの言葉)






その後ウィーゼルが皇子ベリサリウスを産み、
彼が後年副帝次いで第17代皇帝に即位することにより、

フェルナンドは

“皇帝の義父にして祖父”

という栄誉を受け、彼の血筋が4代続く皇室を形成することになった。

歴史上20数名存在する帝国元帥の中で、
そこまでの栄誉を得たのはフェルナンドをおいて他には存在しない。




ポールの息子ベリサリウス帝以降、

フェルナンド元帥は“息子”のポール帝と並ぶ皇統の遠祖すなわち“皇祖”として位置付けられているーーーーー










彼の波乱の生涯は
帝国史や“英雄伝”に編纂され、帝国後半期から現在に至るまで語り継がれていくーーー



『貶めることも美化することもなく、ただありのままのお祖父様を知りなさい』
(成年に達した息子ベリサリウスへの皇后ウィーゼルの言葉)




『彼の生き様、これこそ真の英雄1代記であるーーーー』
(フェルナンドの生涯を記した伝記を読んだ同時代のヤウダ国主の言葉)













そして彼の孫ベリサリウスは軍人として副帝として戦場に向かう時、

“祖父の家紋”と同じ副帝旗を先頭に、
祖父が使用したものと同じ“鎧兜・盾・
槍”をもって軍を率いたというーーーー











『我こそは総司令官ベリサリウス!!

“英雄”フェルナンド元帥の血をひく者!!

全軍、我と我が旗に続け!!!




全軍、突撃ィィ!!!』



“オオオオ―――ッッッ!!!”






ーーーー 完 ーーーー






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