「Heros」


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「だ、旦那様!!ただいま門の外から・・・門の外から!!」



ウィーゼルと医者に両肩を支えられて寝床から身体を起こしてもらい、庭にでかかったフェルナンドの前に走り込んできた老召使い。

目にした光景が意外だったのか、
息を切らし口をパクパクさせている。




「一体どうしたのだ・・・皇帝陛下がお越しになられたのではないのか?」



「いえっ、いえっ。それが陛下ではなく、門の外からっっ・・・!!」



その瞬間だった。
ドトドッと文字通りの音を響かせながら、
人の群れが門の方からさざ波のように押し寄せてくる。




「これは・・・・」




流石のフェルナンドも思わず瞠目していた。

足元にまで押し寄せてきた人の群れは、
フェルナンド自身が覚えのある顔、顔、顔ーーーーー



「司令官閣下ぁぁあ!!」


「フェルナンド様ぁぁ!!」


「将軍っっ!!!」



そこにあったのは、
フェルナンドが軍人として一軍を率いてきた時の部下達。


その大半が6年前に要塞“鷲の巣”で共に汗を流し戦い生き残った者達。

そしてその群れの中にちらほらと見える、
亡き部下達の遺族の顔。


皆フェルナンドの記憶の中にしっかりと刻み込まれていた顔ばかりだった。


人生最後を迎えるにあたり消えかけていたそれらの顔が、
今目の前で“実物”が押し寄せてきたことで、
再び記憶の中でその姿を鮮明なものにしていく。







「お前たち・・・元気だったか?」



思わず口にしていた言葉に人波が一斉に反応して大きく波打った。



「フェルナンド様ぁぁ、貴方のお陰でこうして兵士をやってますぜ!!」



「貴方のおかげです!!こんな かたわになっても、仕事につくことができたのも・・・!!」



「貴方のおかげで父の名誉を取り戻すことができました。貴方のお陰です!!」



「あなたはわしらにとって最高の上官でした!!」



「わたしの中で、あなたは真の英雄でした。だからどうか逝かないでくださいっ!!!」



「フェルナンド様ぁぁ」




「司令官閣下ぁぁ!!!!」




“ワァァァァ・・・―――――――”





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