「Heros」


広間を覆う歓呼の声を耳にしながらフェルナンドは決心していた。


軍人として武器を置くことは、あの戦いに生き残った時から心に決めていたこと。

本来の一平民に戻りたいとの意向をポール帝に伝えた時、 既に打診されていたのだ。


門閥保守派が総退陣した新体制において、
フェルナンドに国務会議の閣僚として入閣し、
無任所大臣として過去の戦いにおける名誉回復作業に取り組んでほしいとーーーーー









(今その決心がついた・・・・)


彼の脳裏に今まで共に戦ってきた戦友・上官・同僚・部下の顔が、
まるで走馬灯のように現れては消えていく。





(私に与えられた最後の仕事・・・・)



(国のために戦い、異境の地で倒れた者たちを・・・“英雄”として後世に語り継ぐこと・・・・)








(それが“英雄”に値しない私の、”贖罪“となるーーーーー)














ーーーーあれから6年、



ーーーー私はあらゆる名誉・勲章・顕彰を全て捨て、
ただひたすら自らの贖罪のために全てをなげうってきた。




ーーーー亡き戦友スネイルが帝国元帥、キグナスが黄金術士としてそれぞれの立場で最高位に叙され、

多くの部下達がそれぞれ特進や追贈を受けて復権していくたびに、



私は今まで味わったことのない達成感を味わったものだった。









ーーーー重傷を負った旧部下が新たな仕事を得、
戦没者の遺族の生活に困らないようにするための山のような書類作業も、実地巡りも全く苦にならなかった。











ーーーー“英雄”になるよりも、“英雄”の名を遺す仕事に力を尽くせた。













あの大仕事に最後の力を尽くせたことに、
私は、本当に・・・感謝したいーーーーー”







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