「Heros」


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ーーーー目の前のライブラに対して“知ってしまった真相”を語り終えたフェルナンド。

それは語る、というよりも“懺悔”というに等しいものだった。


ライブラはフェルナンドが全てを語り終えるまで無言で頷いていた。

そして語り終えたフェルナンドが大きく息を吐いたのを見計いおもむろに語り始めた。



「・・・・スネイルは私が議長時代から、様々な面でわしの考えを実践・啓蒙してくれた。
わしが『もうこれ以上はお前の将来が危うい』と言っても、

『先生、今やらなければ我々の国は自ずと腐敗・崩壊します。

私やキグナス、フェルナンドが命をかけて“鷲の巣”を建設した情熱すら無駄になってしまうやもしれません』

と言ってな。

南に向かっていく時も密かに挨拶に来てくれた。

『私に悔いはありません。懐かしい“鷲の巣”がどんな風に変わっているかを実地で見にいく良い機会ですから』

とな・・・」


「スネイルが、そんなことを・・・・」



思わずひとりごちるフェルナンド。
ライブラは静かに頷き、言葉を続ける。



「キグナスもな、“鷲の巣”に向かう前・息子を預けに来た時言っておったよ。

『先生、息子のことをお願いします。息子にはいずれ伝えてほしいんです。

お前の父さんは酒飲みで母さんにも逃げられた男だったが、
自分の人生を変えてくれた“親友”と“青春の思い出”を守る為に命をかけたと。

偉大な母親を最後まで超えられなかった“不肖の息子”でしたが、先生には長い間お世話になりました。』」



「・・・・・・」





今のフェルナンドに語る言葉はない。

親友達は若き頃の熱い思いを失うことなく、先に逝ってしまった。

それに引き換え、
目の前に現実と自らの境遇を悲嘆するだけでなく、
親友達を死地に追い込んでしまった一端を担ってしまったのだ。




ここでフェルナンドは無言のまま、机の上に一冊の古びた本を置いた。

それは若き頃、
親友達と夢中になって読みふけり、
その後恩師から直接譲られた人生の羅針盤、

“英雄伝” に他ならなかった。





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