「Heros」

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ーーーービュオオオオ・・・




ーーーーヒュウウゥ・・・・





前方から吹き付ける白い雪のせいで目も開けられない。

帝都を出て既に半年、

厳しい冬が到来した険しい山々は一面の雪景色となり南へ南へと進む探検隊にとっては文字通り凶器となって立ちはだかってきた。

未開の土地を進みながらも新しい地図に記録しつつの南下行もいよいよ終盤にさしかかろうとしていた。

いくつもの山々を踏破してきた探検隊にとって、

ナゼール盆地を一望できる地点こそ
要塞建設予定地であり、
彼等にとっての1つの“終着点”に他ならぬ。








ーーーーザクッ、ザクッ、ザクッ・・・・


冬季用の装備に不足した状態の中、
獣の毛皮を代用した防寒具等を利用しながら膝まで積もった雪道を一歩また一歩と進んでいく。



「・・・・・・」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


スネイルも、キグナスも、そしてフェルナンドも、
いや他の隊員も終始無言だった。

ここまで来るのに3分の1の仲間を失ってきた。

様々な形で別れを目の当たりにしながらの決死行は、探検隊全員の精神を強固なものに変えていた。


当初は英雄という言葉に拘りを見せていたフェルナンドも、この時は既に“意地”になっていたといえる。



(ここまで来て今さら退けるかよ・・・。


こうなったら最後の最後までだ・・・・。


やり抜くまであきらめないからな・・・・。


そうだろ、スネイル、キグナス・・・・)



吹雪と寒さの中で互いに言葉をかけ合うということはない。

だが、この時のフェルナンドには、何故かスネイルも、キグナスも同じ気持ちだということが分かったのだった―――――――


















ーーーーそんな苦難もいよいよ終わろうとしていた。







「見えた・・・!!日の出だ!!!」



「あれが・・・あれがナゼール盆地なのか・・・」



吹雪を抜けきった探検隊がたどり着いたのは、
限りなく近くに見える青空と一面に広がる白い峰峰。

そして南側の一角に見えるナゼール盆地の景観だった。

それら全ての情景全てを日の出の光が眩しく照らし出している。

これがフェルナンド達が、正に“1つの終着点”に到達した瞬間だった―――――






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