「Heros」


ーーーー私が軍人としての道を歩み始めてから5年間、
私は新兵・青年将校として文字通り辺境勤務に従事していた。

最初はステップ地方で2年半、次に南ロンギットで1年、そしてルドン高原で1年半といった具合だ。



この辺境勤務では、
小規模なモンスターの襲来に対する防衛戦、

主要街道を巡回しての突発的なモンスターとの遭遇戦、

そしてモンスターの棲みかに対する掃討戦。



日常様々な戦いを通じて多くの知識・経験を得るとともに、
得意だった槍術についても更に磨きをかけることができた。


お陰で同年代の軍人の中では槍に関していえば、決して負ける気はしないと自負するまでになっていた。













ーーーーこのルドン高原配置時、私は数年ぶりに親友・スネイルと再会する。


この時、彼は南バレンヌ駐留部隊に所属しており、帝都アバロンに頻繁に帰ることも多い立場にあった。


久しぶりの再会の夜、
私はそこでスネイルから2つの情報を得ることになる。


1つは
南方・ナゼール地方の国境探検と要塞建築の話。

2つ目は
残る親友キグナスの近況だった。




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「ナゼールに要塞か・・・・・」



場末の酒場のカウンターに並んで座る中、
グラス片手にフェルナンドは思わず親友からの話をそのまま口に出していた。



「お前も辺鄙なルドン勤務経験があるから分かるだろう。
いくら厳しい山脈が延々と続く未開の地とはいえ、
地図1つなく主要な情報が一切ないんだから。
これじゃあ南からの敵の侵入に十分に対処しきれないって。

事実上帝国も“世界の大国”になったんだから、自然の険しさだけに頼らず国境に拠点をもうけて防衛することがこれからは必要だ・・・と思うぞ」



「その為の探検隊の要員を世界各地から募集、か・・・・・」



「ああ、その通りだ。特にこの話は国務会議副議長になったライブラ先生が熱心に力を入れていてな。
身分を問わず実力ある人間はどんどん来いというスタンスだ」



「なるほど、先生らしいな・・・・・」





―――振り返ってみればこのスネイルの話が、
私の人生にとっての“分岐点”の役割を果たすことになった





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