「Heros」

「これからは読みたいならそう言いなさい。

この学校から持ち出さない、部屋の中に勝手に入らないと約束するなら、

宿題の有無を問わず、自由に読んでよろしい」



「ほ、本当ですか?!」



「やったぁっ!!」



「へっへ~~、やりぃ~~」




3者3様それぞれの歓声を上げるのを見て、
ライブラは苦笑いを浮かべながらも、白髪の多くなった薄緑の髪をガシガシとかくのだった。











「お~~~、この挿し絵って ヘクター皇帝陛下だろう?傭兵姿初めて見た~~~」



「“銀月の大軍師”シゲン公って、確かライブラ先生の恩師だろう?やっぱ雰囲気似てるよなぁ」



「カールみたいに伝説的な格闘家になるのも、かっこいいなぁ~~~」



「あっ、これってキグナスの母ちゃんじゃないの?美人だよなあ・・・」



「サファイア母上も、こうしてみたら僕と似てるような似てないような・・・」




1日の授業が終わってから
3人は屋上に上がって英雄伝を広げ、
一般には知られていない歴代の英雄達の肖像画やエピソードを見て、将来の自分達と重ね合わせたものだった。



子供心にこんな風になりたい、と未来を夢見てーーーー













ーーーーあの頃、私の中で
“語り継がれる偉大な英雄になりたい”という夢が具体化していったように思える。

それは恐らくスネイルもキグナスも同様だったろう。


今にして思えば、あの幼年学校時代が今までの人生の中で1番楽しい時期だったなぁーーーー















ーーーー19歳になった時、 私達は幼年学校を無事に卒業、

私とスネイルは軍人なかんずく重装歩兵、
キグナスは術士としての道を歩むことになる。




ーーーー私が軍人になることについて、父も母も反対しなかった。

一般の家庭でよく聞く『俺の跡を継いで大工に』といった決まり文句を父は言うこともなく、

自分の道を行けという姿勢には本当に今でも感謝している。



ーーーー私自身ライブラ先生から軍人としての素養があると言われていたし、

辺境に行くことがある分給料は良い方だったので仕送りで家計にも貢献できる。


何より、将来の夢となっていた“英雄”になるために手柄をたてられることが

私が軍人を目指した“最大の理由”だったーーーー




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