「Heros」

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ーーーー幼年学校講師ライブラの部屋






“ギィィィィ・・・・・”






「・・・ほうら、見ろ。やっぱりライブラ先生いないじゃないか」



「ね、ねえ。もうやめとこうよ~~。勝手に部屋入ったことバレたら、また怒られちゃうよ~~~」



「心配するなってキグナス。この時間はいつもライブラ先生は中庭のベンチでうつらうつらしてるんだから・・・・」



「そうだぜキグナス。お前も見たくないのかよ。学校に数冊しかない、帝国で有名な“英雄伝”を」



「・・・み、見たいけどさぁ~~~」




「・・・シーッ、フェルナンドもスネイルも早く部屋の中に入れよ。ぐずぐずしてるとバレちゃうって」




少し開いた扉の前でヒソヒソと言い合っていた3人の少年。

やがて彼等は一段と声のトーンを落とし、
辺りに気を配りながら素早く室内に滑り込むと、無言のままゆっくりと扉を閉めた。


部屋の主が不在を見計らっての探し物。

それはイタズラ常習犯・問題児3人組に限らず、年頃の少年が読んでみたい本。
学校にすら限られた数しか存在しないという貴重な本。












ーーーーガサゴソ・・・ゴソゴソ・・・・




ーーーーバタンッ、ドサッ・・・・・・・






「おいっ、あんまり音たてんなって。誰かに気づかれたらどうすんだよ・・・」



「だ、だって~~~こんなに本棚あって本があったら、すぐに見つからないってば~~~」



「・・・おいっ、フェルナンド。あんまり窓際に立つな、外から丸見えだぜ」



3人3様、それぞれ壁に備え付けられた本棚から分厚い本を次々から引っ張りだしたり戻したり、
埃をかぶった背表紙をはたきながら題名を確認したりと忙しくチョコチョコ動き回っている。
しかしお目当ての本にはなかなかたどりつけない。



「・・・・おかしいなぁ、几帳面な先生に限って絶対整頓してるはずなのになぁ」



「先生が歴史の授業か何かで持ち出してるんじゃないのか?



これだけ探してもみつからないってことは、
もう鍵のかかってる机の引き出しが その可能性しか考えられないって」



「いい読みだなスネイル。ただ少し気づくのが遅かったな」



「遅かったなって、それは一体誰に・・・・せ、先生っ?!!!」



「ゲッ、やばいっ!!」




「わ~~~、バレちゃったぁぁ」





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