第3章-後編 ―戦士ミズラ、聖なる塔を登る―
「あくまで実地調査のついでなんだから、そのくらい良いじゃない。
それに、団長さんの息子さんが帰ってきてくれれば、この街の守備は任せられるんだから、結果的には良いことだわ」
「オレも賛成な。ホントにそんな湖があるってんなら、この目で確かめてみないと気が済まねぇぜ」
矢継ぎ早に2人に言われ、そこへジェイコブが「わたしも、少なくとも砂漠を探索する必要はあると思うよ」と苦笑した。
ハクヤクも、多数決は尊重する。
またも大げさにため息を吐いて、「では、期限を決めましょう」と言った。
「1週間です。1週間かけてこの辺り一帯を探索し、移動湖や団長殿のご子息が見つからなかったとしても、その時点で引き上げます。
城のことも、長いこと留守にはできませんからね」
「ありがとうハクヤク。そういうわけですから、団長殿。もうしばらく、この町に滞在しながら、調査を進めていきます。
どこまでたどり着けるかは分かりませんが、息子さんに繋がるものも出来るだけ探して行きますから、今はどうぞご養生下さい」
「なんと、恐れ多い!!ありがとうございます、皇帝陛下!!」
ハリーの手を握り、それをブンブンと振り回す。
大怪我をして帰ってきたとは思えぬパワーに、一行は苦笑することしかできなかった。
かくして。
テレルテバは解放され、メルー砂漠一帯はバレンヌ帝国領となった。
皇帝ハリーの名は、このテレルテバでは未だに語り継がれている。
それは、その業績が街の開放だけでなく、砂漠において移動湖を発見、そこにいたある人物と会見したことによる。
皇帝ハリーと、彼が「七英雄という存在そのものを、根幹から考え直そうと思わせた」と言ったという、七英雄・ノエルとの邂逅。
ミズラがそれを目撃するその時は、刻一刻と近づいていた。
To be continued....?