夜明け前の腕の重さ
ターレスの腕の中で目を覚ましたのは、夜と朝の境目だった。
薄い闇の中で、彼の体温だけがはっきりしている。
眠っているはずの腕が、私を包み込むように抱き込んでいた。
その腕は、普段よりずっと重くて、強い。
胸を上下させるだけで、その力が静かに伝わってくる。
まるで、眠りの底で本能だけが働いているみたいだった。
意識のないはずの腕が、私を確かめるようにわずかに力を込める。
その小さな動きだけで、彼の“抑えていない力”が肌越しに伝わる。
振りほどけない――
そう思った瞬間、胸の奥がふっと揺れた。
怖さではなく、
「ああ、この人は本当に強いんだ」という静かな実感。
そして同時に、普段どれほど私に合わせて力を抑えてくれているのかが、
ようやくわかった気がした。
少し身じろぎすると、ターレスがゆっくり目を開けた。
まだ眠気の残る瞳で、状況を一瞬で把握する。
「……悪ぃ。力、入ってたか」
その声は低くて、夜の余韻を引きずっていた。
「うん。でも、ちょっとだけだよ」
そう答えると、彼は短く息を吐き、視線をそらす。
強いくせに、こういう時だけ少し不器用になる。
「寝てる時くらい、気ぃ抜かせろよ」
言葉は乱暴なのに、腕の力はそっと緩む。
その優しさが、胸の奥にじんわり広がった。
「普段、ちゃんと力を抑えてくれてるんだね」
そう言うと、ターレスの肩がわずかに固まった。
図星を突かれたときの、あの小さな反応。
「……お前が壊れたら困る」
その一言のあと、彼はまた私を抱き寄せた。
今度は、意識して力を抜いた腕で。
その抱きしめ方が、妙に安心する。
私はその腕の中で、ゆっくりと目を閉じた。
守られている、という感覚は、
言葉よりも先に体が覚えるものだ。
額が触れる距離で、ターレスが低く呟く。
「……離す気はねぇ」
その声は、夜明け前の静けさに溶けていき、
私の胸の奥にだけ、確かに残った。
薄い闇の中で、彼の体温だけがはっきりしている。
眠っているはずの腕が、私を包み込むように抱き込んでいた。
その腕は、普段よりずっと重くて、強い。
胸を上下させるだけで、その力が静かに伝わってくる。
まるで、眠りの底で本能だけが働いているみたいだった。
意識のないはずの腕が、私を確かめるようにわずかに力を込める。
その小さな動きだけで、彼の“抑えていない力”が肌越しに伝わる。
振りほどけない――
そう思った瞬間、胸の奥がふっと揺れた。
怖さではなく、
「ああ、この人は本当に強いんだ」という静かな実感。
そして同時に、普段どれほど私に合わせて力を抑えてくれているのかが、
ようやくわかった気がした。
少し身じろぎすると、ターレスがゆっくり目を開けた。
まだ眠気の残る瞳で、状況を一瞬で把握する。
「……悪ぃ。力、入ってたか」
その声は低くて、夜の余韻を引きずっていた。
「うん。でも、ちょっとだけだよ」
そう答えると、彼は短く息を吐き、視線をそらす。
強いくせに、こういう時だけ少し不器用になる。
「寝てる時くらい、気ぃ抜かせろよ」
言葉は乱暴なのに、腕の力はそっと緩む。
その優しさが、胸の奥にじんわり広がった。
「普段、ちゃんと力を抑えてくれてるんだね」
そう言うと、ターレスの肩がわずかに固まった。
図星を突かれたときの、あの小さな反応。
「……お前が壊れたら困る」
その一言のあと、彼はまた私を抱き寄せた。
今度は、意識して力を抜いた腕で。
その抱きしめ方が、妙に安心する。
私はその腕の中で、ゆっくりと目を閉じた。
守られている、という感覚は、
言葉よりも先に体が覚えるものだ。
額が触れる距離で、ターレスが低く呟く。
「……離す気はねぇ」
その声は、夜明け前の静けさに溶けていき、
私の胸の奥にだけ、確かに残った。
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