惑星コインランドリー
深夜の惑星の路地は、
青白いネオンが静かに滲んでいた。
私はその光の揺れを見ながら歩く。
足音が金属の床に淡く響く。
少し後ろを、ターレスが無言でついてくる。
歩幅は合わせてくれているのに、
気配はいつも通り静かで大きい。
目的地は、最初から決めていた。
ぽつんと灯りのついた建物が見える。
コインランドリー。
外の冷たい青とは違う、店内の光は柔らかかった。
自動ドアが開くと、乾燥機の熱気がふわっと頬に触れる。
外の冷たさがまだ残っていたから、
その温度が少しだけ心地よかった。
ターレスは一瞬だけ目を細めたが、何も言わない。
青い床が光を薄く反射している。
店内で流れていたのは、地球の古い歌。
少しざらついた女性の歌声。
レコードの針が擦れるようなノイズ。
私は思わず足を止める。
(……地球の曲?どうして、この惑星で)
この曲はよく覚えてる……
たしか曲名は——
Fly Me to the Moon。
ターレスがスピーカーを見上げて言う。
「……妙な歌だな。地球のか?」
私は小さく笑って、洗濯機の前に立つ。
ターレスはベンチに腰を下ろし、静かにこちらを見ていた。
洗濯機が動き出すと、店内には歌と機械音だけが残る。
私はその前に立ち、ただ耳を傾けた。
ターレスの声が低く落ちる。
「……こういう曲が好きなのか」
私は頷く。
少し間があって、彼が言う。
「……故郷に戻りたくなったか」
まつげの影が頬の上でふわりと揺れた。
私は、ゆっくりと首を横に振る。
ただそれだけ。
でも、それで十分だった。
歌は途中でふっと途切れ、洗濯機の電子音が鳴る。
私は洗濯物を取り出す。
ターレスが立ち上がり、短く言う。
「行くぞ」
私は頷く。
外に出ると、また冷たいネオンの青。
でも胸の奥には、
さっきの歌の余韻と、乾燥機の温度と、
ターレスの沈黙がまだ残っていた。
青白いネオンが静かに滲んでいた。
私はその光の揺れを見ながら歩く。
足音が金属の床に淡く響く。
少し後ろを、ターレスが無言でついてくる。
歩幅は合わせてくれているのに、
気配はいつも通り静かで大きい。
目的地は、最初から決めていた。
ぽつんと灯りのついた建物が見える。
コインランドリー。
外の冷たい青とは違う、店内の光は柔らかかった。
自動ドアが開くと、乾燥機の熱気がふわっと頬に触れる。
外の冷たさがまだ残っていたから、
その温度が少しだけ心地よかった。
ターレスは一瞬だけ目を細めたが、何も言わない。
青い床が光を薄く反射している。
店内で流れていたのは、地球の古い歌。
少しざらついた女性の歌声。
レコードの針が擦れるようなノイズ。
私は思わず足を止める。
(……地球の曲?どうして、この惑星で)
この曲はよく覚えてる……
たしか曲名は——
Fly Me to the Moon。
ターレスがスピーカーを見上げて言う。
「……妙な歌だな。地球のか?」
私は小さく笑って、洗濯機の前に立つ。
ターレスはベンチに腰を下ろし、静かにこちらを見ていた。
洗濯機が動き出すと、店内には歌と機械音だけが残る。
私はその前に立ち、ただ耳を傾けた。
ターレスの声が低く落ちる。
「……こういう曲が好きなのか」
私は頷く。
少し間があって、彼が言う。
「……故郷に戻りたくなったか」
まつげの影が頬の上でふわりと揺れた。
私は、ゆっくりと首を横に振る。
ただそれだけ。
でも、それで十分だった。
歌は途中でふっと途切れ、洗濯機の電子音が鳴る。
私は洗濯物を取り出す。
ターレスが立ち上がり、短く言う。
「行くぞ」
私は頷く。
外に出ると、また冷たいネオンの青。
でも胸の奥には、
さっきの歌の余韻と、乾燥機の温度と、
ターレスの沈黙がまだ残っていた。