星雲の光が落ちる部屋で
雨の星で、
ターレスに抱き寄せられたときの感触が、
まだ身体のどこかに残っていた。
雨の重さ、
ガラスに響く低い音、
ターレスの腕の静かな力。
思い出すたび、胸がきゅっとなる。
船に戻っても、
そのざわつきは消えなかった。
寝台に横になっても、
ターレスの体温が皮膚の奥に残っている気がして、
眠れない。
何度も寝返りを打って、
それでも落ち着かなくて、
気づけば私は静かに起き上がっていた。
そっと扉を開けて廊下に出る。
少し歩けば、
胸のざわつきも薄れると思った。
でも——
気づいたときには、
ターレスの部屋の前に立っていた。
どうしてここへ……と戸惑っていると、
扉の向こうで気配が動く。
扉が静かに開いた。
薄暗い部屋の中で、
ターレスがこちらを見ていた。
表情は淡々としているのに、
目の奥だけが眠気に滲んで柔らかい。
「……来たのか」
その声は低くて、
掠れていて、
昼間とは違う温度を帯びていた。
ターレスは何も言わず、
ゆっくりとベッドに戻る。
毛布を片手で持ち上げ、
隣のスペースを示した。
私は戸惑いながらも、
その隣に横になる。
距離は近いのに、
触れない。
でも、触れられそうなほど近い。
そのとき——
ふっと部屋が明るくなった。
私は思わず顔を上げる。
窓の外で、
星雲がゆっくりと光を揺らしていた。
青でも紫でもない、
滲むような光が静かに部屋へ流れ込んでくる。
「……きれい……」
こぼれた声は、
自分でも驚くほど小さかった。
ターレスの視線が、
星雲ではなく、
星雲に心を奪われている私に向く。
眠気の残る目が、
ほんの少しだけ細くなる。
「……そんなに珍しいか」
「うん……すごく、きれい」
ターレスは短く息を吐き、
ぼそっと言った。
「……あの星のどれでも、俺は壊せる」
あまりに唐突で、
私は思わずターレスを見た。
ターレスは眠そうな目のまま、
ほんのわずかに口角を上げる。
「壊さないでよ……きれいなんだから」
そう言うと、
ターレスは肩をわずかに揺らした。
笑ったのだと分かる。
「……おまえがそう言うなら、やめておく」
その言い方が、
妙に優しくて、
胸がまたざわついた。
ターレスはそのまま目を閉じ、
静かに眠りに落ちていく。
私は星雲から目を離せなかった。
背中にはターレスの体温があって、
胸の奥が静かに温かくなる。
星雲の光が揺れて、
その光に包まれるように、
私はゆっくりと目を閉じた。
部屋は、
星雲の光がふたりを包むように
静かに揺れていた。
ターレスに抱き寄せられたときの感触が、
まだ身体のどこかに残っていた。
雨の重さ、
ガラスに響く低い音、
ターレスの腕の静かな力。
思い出すたび、胸がきゅっとなる。
船に戻っても、
そのざわつきは消えなかった。
寝台に横になっても、
ターレスの体温が皮膚の奥に残っている気がして、
眠れない。
何度も寝返りを打って、
それでも落ち着かなくて、
気づけば私は静かに起き上がっていた。
そっと扉を開けて廊下に出る。
少し歩けば、
胸のざわつきも薄れると思った。
でも——
気づいたときには、
ターレスの部屋の前に立っていた。
どうしてここへ……と戸惑っていると、
扉の向こうで気配が動く。
扉が静かに開いた。
薄暗い部屋の中で、
ターレスがこちらを見ていた。
表情は淡々としているのに、
目の奥だけが眠気に滲んで柔らかい。
「……来たのか」
その声は低くて、
掠れていて、
昼間とは違う温度を帯びていた。
ターレスは何も言わず、
ゆっくりとベッドに戻る。
毛布を片手で持ち上げ、
隣のスペースを示した。
私は戸惑いながらも、
その隣に横になる。
距離は近いのに、
触れない。
でも、触れられそうなほど近い。
そのとき——
ふっと部屋が明るくなった。
私は思わず顔を上げる。
窓の外で、
星雲がゆっくりと光を揺らしていた。
青でも紫でもない、
滲むような光が静かに部屋へ流れ込んでくる。
「……きれい……」
こぼれた声は、
自分でも驚くほど小さかった。
ターレスの視線が、
星雲ではなく、
星雲に心を奪われている私に向く。
眠気の残る目が、
ほんの少しだけ細くなる。
「……そんなに珍しいか」
「うん……すごく、きれい」
ターレスは短く息を吐き、
ぼそっと言った。
「……あの星のどれでも、俺は壊せる」
あまりに唐突で、
私は思わずターレスを見た。
ターレスは眠そうな目のまま、
ほんのわずかに口角を上げる。
「壊さないでよ……きれいなんだから」
そう言うと、
ターレスは肩をわずかに揺らした。
笑ったのだと分かる。
「……おまえがそう言うなら、やめておく」
その言い方が、
妙に優しくて、
胸がまたざわついた。
ターレスはそのまま目を閉じ、
静かに眠りに落ちていく。
私は星雲から目を離せなかった。
背中にはターレスの体温があって、
胸の奥が静かに温かくなる。
星雲の光が揺れて、
その光に包まれるように、
私はゆっくりと目を閉じた。
部屋は、
星雲の光がふたりを包むように
静かに揺れていた。
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