雨の星、青白い部屋で

小雨が宇宙船の外殻を叩き続けていた。
湿った空気が金属にまとわりつき、
その音は夜のあいだずっと止まらない。

ターレスの部屋は、薄い青白い照明だけが灯っていて、
窓を伝う雨粒が光をゆらりと歪ませていた。

わたしはベッドに沈み込んだまま、
湿気に身体を奪われて、起き上がれない。
呼吸はできるし、熱もない。
ただ、空気が重くて、身体がベッドに吸い込まれるようだった。

ターレスが部屋に入ってきた。
足音は静かで、気配だけが近づいてくる。

わたしの様子を見た瞬間、
彼の眉がわずかに動いた。

何も言わず、額に触れる。
熱がないと分かると、短く息を吐いた。

「……湿気か。」

それだけ言って、
頬にかかった湿った髪をそっと払う。
叱るでも、慰めるでもない。
ただ、状態を受け止める声だった。

ターレスはベッドの端に腰を下ろし、
肩に手を置いた。

「起きるな。」

低く短い声。
それ以上は言わない。

わたしが小さく息を吐くと、
ターレスはその呼吸のリズムに合わせるように
ゆっくり背中を撫でた。

「……雨の音、嫌いじゃないんだろ。」

わたしがうなずくと、
ターレスは少しだけ口元を緩めた。

「なら、しばらく聞いてろ。俺がいる。」

雨音と、わたしの呼吸。
ターレスの沈黙は、言葉よりもずっと優しい。

やがてターレスは立ち上がり、
部屋の空調を乾燥寄りに調整した。

戻ってくると、
わたしの頬にかかった髪をまた指で払う。

表情は読めない。
心配しているのか、
呆れているのか、
ただ静かに見守っているだけなのか。

手を包むように握り、短く言う。

「……寝てろ。」

それだけ。
けれど、その声は雨より温かかった。

ターレスはわたしが眠りに落ちるまで、
手を離さなかった。

眠りに落ちる直前、
ターレスの低い声が落ちてくる。

「……弱ぇな。」

言葉は冷たいのに、
触れている手は驚くほど優しい。

窓の外の雨を一度だけ見て、
わたしへ視線を戻す。

その瞳は静かで、
何を考えているのか分からないのに、
不思議と安心する。

雨音と青白い光の中で、
ターレスはただ、わたしの呼吸が落ち着くまでそばにいた。
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