光りの大空
「いけるか?」
「あぁ、これくらいの傷なんて平気だよ」
「クフフフ、しばらく2人を観察させて貰い2人の関係性が見えて来ました。アルコバレーノはボンゴレのお目付け役って訳ですね?」
「違う、リボーンは俺の……家庭教師だ」
「……ツナ」
「クフフフ、なるほど。それはユニークですね。しかし、先生は攻撃をしてこないのですか?」
「掟だからな」
「掟ときましたか、正統なマフィアらしい答えですね」
「それに俺がやるまでもなくお前は俺の生徒が倒すからな」
骸は瞳の数字を1から3に変えると周りに大量の蛇を出す。
「本物の毒蛇か!」
「えぇ、噛まれれば大変ですよ。さぁ、生徒の命の危機ですよ。いいんですか?」
「あんまり図に乗るなよ骸。俺は超一流の家庭教師だぞ」
ギュルルル! キン!
骸の槍にトンファーが飛んで来る。
綱吉は入口を見ると雲雀と律都が立っていた。
「綱吉、伏せて」
綱吉はそう言われて伏せると周りにいた毒蛇は一瞬で倒された。
「ダイナマイトか。恭弥、律矢」
「綱吉、足」
「……咬み殺す」
「分かったか、骸。俺はツナだけを育ててる分けじゃないんだぞ」
綱吉は立ち上がり、2人に近寄り抱きしめる。
「2人が無事で良かった……。恭弥、心配したんだよ」
「ごめん、でも僕にだってプライドがある」
「これは、これは外野がぞろぞろと、千種は何をしているんですかねぇ……」
「あの2人なら僕が倒したよ」
「なるほど」
「綱吉、僕が貰うよ。覚悟は良いかい?」
「これは、これは、怖いですね?でも幻覚で落ちたキミには興味がありませんよ」
「咬み殺す」
「一瞬で終わりますよ」
雲雀と骸は互いの武器を構え、ぶつかりあう。
「アレは相当ムカついているな」
「良いのか、ツナ?」
「何が?」
「雲雀に任せて」
「俺が六道骸を倒すのは簡単だけど、それじゃ恭弥の腹の虫が収まらない。だから恭弥が来るのを待ってた。必ず、恭弥は来るって分かってたから」
「……信頼してるだな」
「恭弥は俺にとって大切な存在だから」
綱吉はそう言って雲雀を見る。
2人のスピードは早く、普通の人間なら目で追うのは大変だろう。
「キミの一瞬っていつまで?」
「なるほど、時間の無駄です。手っ取り早く終わらせましょう」
骸は瞳の数字を“1”に変わると同時に2年の自分が現れる。
「っ!」
『恭弥君……』
「っ…綱吉……」
虚ろな壊れかけた自分が雲雀に近寄る。
雲雀はふら付きながら骸を睨む。
それを笑いながら見詰める、骸。
「綱吉は……」
雲雀は一瞬で骸の懐に入り込み一撃を食らわす。
「綱吉は強くて脆い。だから僕等がいる」
最後に顎に一撃を食らわせ吹き飛ばす。
「っ…!」
「お疲れ様、恭弥」
倒れそうな雲雀を綱吉は支える。
雲雀は綱吉を見ると同時に気を失う。
「途中から無意識に戦ってたな。よほど一度負けたのが悔しかった見たいだな」
「恭弥は負けず嫌いだから」
「終わったのね?」
ビアンキは綱吉に近寄る、そして綱吉は倒れた骸を見詰める。
「恭弥とふぅ太を見ていてくれ」
「どうする積りだ、ツナ?」
「まだ終わって無い。だから全てを終らせる」
「無茶はするなよ。優勝な医療チームがこっちに向かってるが」
「その医療チームは不要です。何故なら生存者はいなくなるから」
綱吉は倒れた骸を見ると骸は起き上がり手には拳銃を持ち握っていた。
「それでどうする積りだ」
「クフフフ、こうするんですよ」
骸は拳銃を自分のこめかみに当てる。
「Arrivederci(また会いましょう)」
パァン! ドサッ!
「捕まるなら死んだ方がマシって奴かもな」
「………………」
綱吉は顔を顰め周りを見渡す。
「(何かが可笑しい。何だこの違和感は……)」
「生きたまま捕獲は出来なかったが仕方ねーな」
「これで終わったのね?」
「……本当にそうなのか?」
「どういう事だ、ツナ?」
「嫌な予感がする」
「……超直感か?」
「多分……俺の勘は滅多に外さない」
すると唯一ある入口から骸の仲間の柿本千種と城島犬が現れる。
「この気配……六道骸か」
『クフフク、また会いましたね』
「お前が銃で撃ってからずっと違和感があった」
『ほう……初めてですよ。憑依した僕を一目で見抜いた人間は、つくずくキミは面白い』
「どうも」
「間違いねーな、自殺として見せ掛けて撃ったのはあの弾だな」
『………………』
「憑依弾は禁弾の筈だぞ、どこで手に入れやがった」
「憑依弾……(あのファミリーの物だった)」
『僕の物だからーーと言っておきましょう。さぁ、次はキミの番ですよ。ボンゴレ10代目』
「断る、誰がお前に憑依されるか。南国果樹」
『南国果樹ではありません!』
「……ツナ、あの剣には気をつけろ」
「分かってる。多分、剣で傷を付けられたら憑依を許す事になるんだろ」
『良くご存知で……』
『その通りです!』
骸は槍を雲雀に向けて投げる。
「チッ!」
綱吉は持っていた警棒を投げるが間に合わずに槍は雲雀の腕にかする。
『なっ、契約が出来ない!そんな馬鹿な……』
「まさか……」
『恭君と綱吉は私にとって大切な存在なの!だから、2人には守護の力を掛けて置くね』
綱吉は少し離れた律都を見詰める。
そんな綱吉は雲雀の傍にある槍を掴む。
「はぁーー。メンドクサイ。仲間の傷だらけの身体を無理やり動かし、それでも俺には勝てない。本体で戦えよ」
『何を……』
「リボーン、俺の意思がボンゴレの答えなんだよな?」
「そうだぞ」
「……俺はいつも、壁を作り他人を拒絶して来た」
槍を倒れている骸に投げる。
「俺にはやりたい事がある。人の道を外れたとしても……だから」
此処に来る時骸達の過去を知り、同情した。
でも実際に見てコイツらはもがきながら生きて来たと分かった。
これまでやって来たのは許されない、でも救う事は出来る。
「骸、自分の身体に戻れ」
『何を……』
「一対一で勝負をしろ。俺が負けたらこの身体をお前にやるよ」
「ツナ!」
「もし、お前が負けたら……」
綱吉はニヤリと笑うと骸は寒気を感じて一歩下がる。
綱吉「俺はただでは負ける積もりは無い、勝ってお前を更正させてやるよ!」
カッ!
『ボンゴレ、何をした!』
「何もして無い」
辺り一面金色に輝く糸が伸びて行く。
「ついに羽化したな」
「羽化?」
『アルコバレーノ、キミの仕業仕業か』
「チゲーぞ。コイツは形状型カメレオンのレオンでどういうわけか俺の生徒が成長すると繭になる」
「ふぅん」
レオンは少しずつ膨らんで行く。
「新アイテムを吐き出すぞ。俺の生徒であるツナ専用の武器を」
「へぇ……さっさと本体に戻れよ、骸。お互いに全力を出し勝負だ」
『クフフフ、キミは面白い。キミの情報は一切無く、何者なのか気になります』
「……………」
『良いでしょう。後悔させてあげますよ。僕、本来の力でキミを倒して契約しましょう』
柿本千種と城島犬は倒れ、骸が起き上がり槍を掴み、棒に付ける。
そしてレオンを真っ二つに切り、レオンは無事で元の姿に戻る。
「ツナ、上を見ろ」
「上?」
上から革の手袋と真っ白い子猫が降って来る。
綱吉は手袋と子猫を受け止める。
「手袋と子猫?」
「新アイテムだ、お前専用の」
「手袋は分かるけど、子猫は………」
『……………ミァ』
「最後まで面白いですよ、キミ達は!」
綱吉は手袋を手に填め、子猫をリボーンに渡す。
そして落ちている警棒を拾い、攻撃を止める。
「チッ!しぶといですね!」
「そう簡単には負ける積もりは無い」
綱吉は骸の攻撃をすんでで避けながら逃げる。
「(レオンから吐き出された手袋。そして子猫。何か意味がある筈……)」
「ちょこまかと!さっさとその身体を渡してくれませんか!」
「断る(そうか!)」
綱吉はニヤリと笑い。そして骸の槍を掴む。
「なっ!」
「この手袋は死ぬ気の炎で内蔵されたリミッタを外すと手袋に炎が灯る、そして…………」
綱吉は槍を折り、骸を吹き飛ばす。
そして素早く動き、骸の背中を蹴り踏みつける。
「グハァ!」
「……俺はお前達の過去を知っている」
「っ…何を!」
「骸さんにマフィアが触んな!」
城島犬と柿本千種は床を這いずって近寄る。
「はぁーー。煩い、コレは真剣勝負だ。少しでも動けば骸を殺す」
綱吉は2人に殺気を浴びせる。
「「っ…!」」
「まだ、こんな力じゃ無いだろ、お前の力は?出し惜しみしてると俺には勝てない」
綱吉はニヤリと笑い、骸から離れる。
「この人間道は最も醜く最も危険な能力」
骸は自分の手を目に突っ込み数字を変える。
そして全身からドス黒いオーラが吹き出る。
骸は先ほどより素早く動き綱吉に攻撃を仕掛ける。
綱吉は腹部を殴られ、頬を殴られ壁に吹き飛ぶ。
「クフフフ、ウォーミングアップの積もりだったんですけど」
「そうでなくちゃな!」
「なっ!」
ボッボッ!
「闘気〔オーラ〕が弾けた!」
「お前の力はそんなモノか?」
「クフフフ、全くキミは楽しませてくれる。だが、闘気〔オーラ〕の見てくれを変えても無意味だ」
「死ぬ気の炎は闘気〔オーラ〕じゃ無い」
「ほう、ならば見せて貰いましょう!」
骸は綱吉に突っ込み攻撃を仕掛ける。
綱吉は槍の棒をグローブでへし折り綱吉の拳が骸の顔を掠める。
「っ…!(熱い……闘気〔オーラ〕が熱を帯びてる!)」
「死ぬ気の炎は闘気〔オーラ〕とはエネルギーの密度が違う。死ぬ気の炎はそれ自体が破壊力を持った超圧縮エネルギーだ」
「そのグローブは焼きゴテと言うわけか」
「それだけじゃ無い」
「クッ!」
骸は槍を振りかざすが綱吉は後ろに回り蹴り飛ばす。
「奴は何をしたんだ?」
「骸、お前はもっと強くなる。でも今のままじゃ駄目だ」
「はぁ?」
「俺の本気はこんなもんじゃないんだよ」
綱吉は自分に掛けているリミッタを外す。
額から炎を灯し、純度の高い大空の炎をグローブに宿す。
「っ…!」
「これ程の力を………」
「これがあのツナなの………」
ビアンキはリボーンを抱き上げ抱き締める。
「次で終らせる」
「クッ!」
綱吉はグローブの炎を逆噴射させ高速移動する。
そして骸の頭を掴み、ドス黒いオーラを浄化する。
骸は倒れ、綱吉は受け止める。
死ぬ気の炎を解き、グローブは手袋に戻り、それをポケットにしまう。
「終わったな」
「あぁ……」
「骸さんを返せ!」
「……動くな、傷口が開く。それに骸を殺す積りは無い。俺を重ねて視るな」
「「……っ!」」
「俺はお前達の過去を知ってる。何があったのかも」
「ツナ、どういう事だ」
「話すぞ……。骸達は自身のファミリーのエストラーネオファミリーに人体実験、モルモットにされていたんだ」
「俺らのファミリーは人でなしのレッテルを貼られ他のファミリーからひっで迫害を受けた。仲間達は次々と死んでた、毎日が地獄だった……。あの人はそれをぶっ壊した」
「…………………」
「この時俺らに居場所が出来た!オメーらに壊されてたまっかよ!」
その時骸達の首に鎖が付いた首輪が填まる。
現れたのは黒いマントと包帯で全身を隠した“復讐者”
「っ…!」
「はぇ、お出ましだな」
「俺が呼んだ。」
「“ジェネラル”協力感謝スル」
「取引がしたい」
「珍シイナ、オ前ノ方カラ持チ掛ケテ来ルトハ。」
「此処にお前達が探してる凶悪犯罪者・100人が何処に潜伏しているか分かるリストがある」
「……………」
「ソイツらは俺が首輪を付けて引き取る。二度と悪さはさせない」
律都は綱吉に近寄り復讐者を見る。
「それ、ちょうだい」
「「「っ……!」」」
「律矢……」
「ちょうだい」
復讐者は骸達の首輪を外す。
綱吉はニヤリと笑いリストを復讐者に投げる。
綱吉「特別に3回だけタダで依頼を受けてやるよ。何でもな、しかも最優先で」
「ハァ、今回ダケダ、モシソイツ等ガオ前ノ手カラ離レタラ直グニ捕マエル」
「分かった」
復讐者は帰って行く。
綱吉「逃げようと考えるなよ。逃げれば直ぐに復讐者が現れてお前達を捕まえる」
「「………………」」
「ツナ、お前……」
「ちゃんと話すよ」
「お任せしました!怪我人はどちらに!」
ボンゴレ医療チームが現れて雲雀やふぅ太達を治療して行く。
勿論骸達も……… 。
「これで終わりだ…………」
「疲れて、眠ったか。お前は一体何を抱えているんだ?だが俺も眠い……ぞ」
外にいた獄寺達も医療チームに手当てされ病院に連れて行かれる。
これで並盛襲撃事件は終わる
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