光りの大空



✻黒曜編✻

 仕事をしていたらある噂を見付けた。
 イタリアの刑務所から囚人が脱獄したと。

「……嫌な予感がする。少し調べるか」

 綱吉はチラリと部屋の時計を見るとお昼前だったが部屋の鍵を閉めPCに向かい起動させイタリア警察の情報システムにハッキングして調べていく。
 調べていくと脱獄囚は主犯は六道骸と言う男で手下の2人を連れて行った事とそれと慣例があるか分からないが騒ぎに生じて4人の脱獄囚がいた。
 脱獄は今から1週間前でその後の情報はなかった。

「……此処じゃ調べるにも限度があるな」
「綱吉……」
「律都…どうやって?」
「窓から入った。もう夕飯……。母さんが心配してる」
「もう、そんなに時間が経ってたんだ。夕飯は食べるよ。行こう律都」
「うん」

 下に降りると奈々が心配そうな顔をさせていた。

「ツッ君……」
「大丈夫だよ。ちょっと、勉強をしていただけだから」
「………………」

 綱吉はそう言って自分の席に座る。
 リボーンは訝しげに綱吉を見詰めるが綱吉はそれを無視して夕飯を食べて行く。
 そして、食べ終わると律都を連れて出かけてしまう。
 リボーンは着いて行こうとするが撒かれてしまった。

「チッ……。一体何を考えているんだ?」

 綱吉は律都を連れて並中に来ていた。
 応接室は入ると雲雀が来ていた。

「どうしたの、綱吉?」
「うん、ちょっと調べたい事があるから。此所は家より機材が揃ってるから来たんだ」
「何か気になる事でもあるの?」
「うん」

 綱吉はそう言ってPCに向かいスイッチを入れて家から送った情報を元に調べていく。

 “六道骸、イタリア脱獄7日が過ぎ並盛町襲撃迄後、10日”

 綱吉はずっと“六道骸”を調べていた。
 日に日に超直感が警報を鳴らしていた。
 そして、並中の生徒達が何者かに襲撃されていた。

「……黒曜中に“六道骸”と3人が5日前に転校して来てのは偶然か?でも、写真とは人物が合わない。しかも、並盛の襲撃は監視カメラに映らないように行われてる」
「…………………」
「大丈夫かい、綱吉?ここ最近、ずっと応接室に籠りきりだよ」
「……何だか嫌な感じがする。手遅れになる前に調べられる事はやっておきたい」
「無理だけはしないでね。」
「うん、有難う」

 襲撃迄後、5日…………。

 調べていく度に“復讐”と“斬殺”という単語ばかり出て来る。
 後、少しで分かる所まで来ているが肝心な所が分からなかった。

 そして遂に襲撃当日

「ツッ君、最近並中の生徒達が襲われてる見たいだけど大丈夫?」
「風紀委員で調べてるから大丈夫だよ」
「なら、良いんだけと、無理だけはしないようにね?」
「うん」

 綱吉達は朝御飯を食べ、学校に向かうと校門で雲雀に会う。

「お早う、恭弥」
「お早う綱吉、律矢。笹川了平……やられて病院に運ばれたよ」

「なっ……!」

 綱吉は驚いた顔をさせる。

「……病院に行って来る」
「行く」
「………………」

 綱吉は律都の手を繋ぎ病院に向かう。
 その後ろ姿を雲雀は見送る。
 病院に着くと大勢の並中生が来ていて、綱吉は了平がいる病室に向かうと包帯だらけの了平がベッドに横になっていた。

「失礼します。笹川先輩、大丈夫ですか?」
「おーー沢田、早いな。情けないがこのザマだ」
「了平、怪我の具合はどうだ?」
「骨を6本とヒビが7ヵ所。そして歯を5本持って行かれた」
「っ!(やっぱり)」
「しかし、襲って来た男……。油断したとはいえ恐ろしく強い男だった……」
「犯人を見たんですか?」
「あぁ、奴は俺の名を知っていた。あの制服は隣町の黒曜中だった」

 ガラッ!

「お兄ちゃん!」

 綱吉は京子が病室に入って来た事により病室を律都と共に出て行く。

 やっぱり、2つの事件は繋がっていた。“六道骸”の狙いは俺……。ボンゴレ10代目候補の俺だ!

「あれ、沢田ちゃんズ?」
「何の用……」

 綱吉は軽く殺気を放ち声を掛けて来たロンシャンを睨みつける。

「クスクス、仮面が外れてるよ?イラついてる見たいだね、キミの仲間がやられたからかな?可哀想だよね、キミに関わらなきゃこんな目に合わなかったのに」
「っ…!分かってるだよ!」
「極力関わられないようにして、壁を作って、拒絶して、一般人を巻き込みたく無いなんて甘ちゃんだな?」
「……………」
「関わったなら最後まで責任を持って全部、守れば良いだろ。
それが出来る力を持ってるんだろ?」
「っ…!」
「仲間なんだろう?本当は信頼しているんだろ?なら愚だ愚だ悩んで無いんですで売られた喧嘩を買いに行けば良い。そして、全てが終わったら腹を割って話せば良いだろう!」
「………………」

 綱吉は無言でロンシャンを見るとタンカーに乗せられた草壁が運ばれて来る。
 綱吉は直ぐ様に草壁に駆け寄る。

「哲君!」
「あっ、キミ……。」
「沢、田さん……委員長を。」
「まさか、1人で黒曜に!」

 草壁は頷くと気を失ってしまった。

「どうしたいの?」
「……売られた喧嘩は買う。そして、全てが終わったらアイツらときちんと向き合う。律矢、行くよ」
「……うん」

 綱吉は残っている情報を調べに並中に向かう。


*・°・*。.*.。*・☆・*・゜・*。.*.。*☆


ロンシャンSIDE

病院に来て見ると苦しげな表情をさせた沢田綱吉と弟?の律矢がいた。
俺は沢田綱吉を気に入っているけど愚だ愚だと悩んでいるのは気にいらない。
だから……いつものように戻れ。


「良いんですか、ロンシャン君?」
「何が?」
「敵マフィアの次期ボスの背中を押すような真似をして」
「あぁ、良いんだよ。俺は素のアイツと話したい。それに……」
「それに?」
「恩を売って置いて損は無いだろ、マングスタ?」
「今はそう言う事にしておきましょう」

 呆れる、家庭教師。


俺がキミにしてやれる事は此処までだ。
今度、会った時は腹を割って話しをしようよ、沢田綱吉君。


*・°・*。.*.。*・☆・*・゜・*。.*.。*☆


リボーンSIDE

了平から“黒曜中”って単語が出た時ツナは驚いた顔をさせていた。
そして京子が病室に入って来てツナはリツを連れて出て行った。

追いかけようとしたがタイミングが取れずに追いかける事が出来なかった。

 ブチッ!

「レオンの尻尾が切れた……。不吉だ」

 犯人は歯を抜きながらカウントダウンをしてやがる。

この“並盛中の喧嘩の強さランキング”で。

フゥ太のランキングは業界全体の最高機密で一般の人間が知る訳が無い。

つまり、犯人は裏の人間だ!

目的はツナだ!

「あれ~沢田ちゃんの家庭教師君」
「……トマゾの何の用だ?お前に構ってる暇は俺にはねぇんだ」
「クスクス、知ってるよ!キミの教え子なら病院を出て行ったよ。少しだけ、スッキリした顔をさせてね」
「……ツナに何をしたかは分からねぇが礼は言わねぇぞ」
「礼なんかいらないよ。ただ、愚だ愚だ悩んでいる奴を煽っただけだ。それに俺としてはこの馬鹿げた騒動をさっさと止めて欲しいんだけど?」
「言われなくともツナが動いているんだ。ツナが止める」
「ふぅん、沢田ちゃんは弟君と一緒に動いている見たいだからキミ達は固まって動けば?もしかしたら目的地で合流出来るかもね。それに彼らも連れて行くんでしょ?」
「ファミリーだからな」
「あっそう。俺はそろそろ帰るよ」

ロンシャンはマングスタを連れて帰って行く。

アイツが猫を被っていたのは知っていた。
まさかあんなんだとはな。
ツナ達の事は一先ず置いておくか。

情報を集めて獄寺達を集めるか。
あの2人は2位と3位だからな。

無茶だけはするなよツナ!


*・°・*。.*.。*・☆・*・゜・*。.*.。*☆


雲雀SIDE

何となく気付いていた。
並中生の襲撃事件は綱吉が目当てだって。
これ以上は綱吉の負担を増やしたりしない。
それに僕にだってプライドがある。

「ずいぶん探したよ。キミがイタズラの首謀者?」
「クフフ、そんな所ですかね。そしてキミの町の新しい秩序」
「寝ぼけてるの?並盛に2つの秩序はいらない」
「まったくの同感です。僕がなるからキミはいらない」

 ギャキッ!

「それは叶わないよ」

 ギャキッ!

「キミは此所で咬み殺す」

 雲雀は全身から殺気を放ちソファに座る男を睨み付ける。

「座ったまま死にたいの?」
「クフフフ、面白い事を言いますね。立つ必要が無いから座ってるんですよ」
「……キミとはもう口を聞かない」
「どーぞ、お好きに。ただ今、喋っとかないと二度と口が聞けなくなりますよ」

「……!?」

『…………ゃ』

 雲雀は背筋に悪寒が走る。

そんな筈は無い!
あの声は幻聴だ!

「ーー?汗が噴き出していますがどうかなさいましたか?」
「黙れ」
「せっかく心配してあげてるのに……ほら、しっかりして下さいよ」

『きょ……お……ばけ………て』

まさか、幻聴じゃ無い?

『恭弥君、俺は化け物なんだって』

目の前にはあの日、壊れかけた綱吉が立っていた。

「っ…!違う!」

幻だと、頭では分かっている。
でも、身体が動かない。

 一瞬の隙を突かれて僕は男に意識を落とされた。

「…案外脆いですね。支えている方がこんなに脆いとは……まぁ、これで彼が釣れれば良いのですが」


*・°・*。.*.。*・☆・*・゜・*。.*.。*☆


獄寺SIDE

どーなってんだ?欠席してる奴らがやけに多いし、10代目も来てねぇ…………。

かったりー

獄寺「あっ、切れた。携帯の電池が切れたから帰ります」

 ガタッ!

「こら、獄寺!キサマ、遅刻して今来た所だろ!」

 学校を早退して商店街に向かう。

獄寺「とりあえずメシでも食うか……ゲッ、65円…………」

「並盛中学2ーA出席番号8番……獄寺隼人」
「んだ、テメーは?」

「黒曜中2年柿本千種。お前を壊しに来た」
「はーー」

ったく、何でこう毎日他校の不良に絡まれるだよ。
けっこー地味に生きてんのに。

「わーった、来やがれ。売られた喧嘩は買う主義だ」

 ザクザク! ドサッ!

すると近くを歩いていた、不良が野次を飛ばして来た。
だが次の瞬間メガネ野郎が何かを使い不良を倒した。

「なっ!て……テメー何しやがった!」
「いそぐよ……。めんどい」

 ゾクッ!

寒気がして一歩下がり様子を見る事にすると何かが頬を掠める。

「チッ!」

武器が解らなきゃ話しにならねぇ。

後ろに下がり走り出しメガネ野郎が着いて来る。
そして空中に2倍ボムを投げ身を隠し観察する。

野郎の武器はヨーヨで中に針が仕掛けてあった。

 ボコオッ!

獄寺「くっ」

こいつ……ただの中坊処か殺気といい戦い方といいプロの殺し屋だ!

「黒曜中だ……?すっとぼけてんじゃねーぞ!テメー、何処のファミリーの者だ」
「やっと……当たりが出た」
「あぁ?」
「お前にはファミリーの構成。ボスの正体、洗いざらい吐いてもらう」
「…狙いは10代目か!」

なら此所で食い止める!

2倍ボムを投げるが全て消され、2つのヨーヨに挟まれた。

俺のスピードじゃ避けきれねぇ!
出来りゃあこの技は使いたくなかったぜ。

だってよ……いくらチビボムだからって…………。

「いてーんだよ!」

チビボムを使い、メガネ野郎の攻撃を避け、攻撃を仕掛ける。
だが避けきられるが2倍ボムを仕掛ける。

「芸の無い奴……」

 ドカァン!

「ザマぁねーな!テメーは簡単な遠近法のトリックに引っ掛かったのさ。俺が2倍ボムの掛け声と共に通常のダイナマイトを放った時既に放っておいたチビボムが通常のダイナマイトと同じ大きさに見える程お前に側近してたのさ

ボンゴレ舐めんじゃねー。果てな」

メガネ野郎に最後にダイナマイトを投げる。

 ドカーン!

「けっこーヤバかったな」

一服してる時に野球馬鹿が走り近寄って来る。

「獄寺!」
「……野球馬鹿?」
「学校、半日で終わってさ。通り掛かったら並中生が喧嘩してるって聞いて獄寺かと思ってな、大丈夫か?」
「ケッ、テメーに心配されたくねぇよ」

メガネ野郎は動けないと油断していた。

 ザクザク!

「っ…獄寺!お前、どうして!?」
「…知るかよ……ただ、お前が傷付くと10代目が……悲し、む」


*・°・*。.*.。*・☆・*・゜・*。.*.。*☆


山本SIDE

俺を庇って獄寺が倒れた

「テメー…。」
「……お前は並盛中学2ーA主席番号15番山本武」
「だったら何だ」
「お前は犬の獲物……」

そう言って男が去って行く。
追うのは得策じゃねぇな。

「獄寺、しっかりしろ!お前が傷付くのだってツナが悲しむぜ」

小僧に連絡して言われた通りに並中の保健室に獄寺を連れて来た。
獄寺は保険医のシャマルのオッサン手当てをしてくれた。
しばらくして小僧とビアンキ姉さんが保健室に来る。

「………………」
「山本。お前、何を考えてる」
「……何って、獄寺をこんなにされたんだ。悪いが止めったって俺は行くぜ」

大切なダチがやられて黙っていられる程俺は大人じゃ無いんだ。

「少し待て、準備が必要だ」
「仕方がねぇな……。ツナにはこの事を黙っててくんねぇか?」
「ツナは今はいねぇーんだ。だがツナの事だ、いずれ乗り込んで来る」
「なら、その前に終わらせれば良いのなぁ!ツナを危険な目に合わせたくねぇ」

その後、俺と獄寺、小僧にビアンキ姉さんの4人で出かける。

奴らの狙いがツナなら先に倒せば良い。



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