光りの大空



「行っちゃいました……」
「どうしようハルちゃん…………」
「あらあら、じゃあツッ君。2人に教えてあげたらどうかしら?」

「「?!」」

「……俺が?」
「ツッ君、お菓子作り得意じゃない」
「そうだけど……」
「ツナのお菓子は美味しいだもんね!」

 ランボはツナの足にしがみつき じゃれて来る。

「……あっ、そうだ」

 綱吉は鞄からラッピングされた数個のチョコを取りだしランボに渡す。

「お菓子だもんね♪」
「ツッ君、それって」
「うん、チョコ。でも、知らない女の子から貰っても食べないで捨てるよりランボ達に食べて貰った方が良いから」
「……そう」
「鞄、部屋に置いて来る。教えるのは良いけどさすがにこの格好じゃ嫌だから」

 綱吉はそう言って自分の部屋に向かう。
 律都も自分の部屋に行ってしまった。
 部屋に戻るとリボーンがベットに座っていた。

「ツナ、上手くビアンキをチョコ作りから遠ざけたな」
「別にただ、律矢にポイズンクッキングを食べさせたく無いだけだよ」

 綱吉は制服を脱ぎ、普段着に着替えてリビングに行きエプロンを着ける。

「2人は何を作る積りだったの?」
「えっと、決めてません……」
「……じゃ簡単なチョコフォンデュで良い?」

「「はい!」」

 綱吉は2人に指示を出しながら作っていく。
 綱吉はその間につけるクラッカーを作る。
 1時間後、チョコフォンデュとクラッカーが出来上がる。

「わあ、美味しそう!」
「ガハハ、全部ランボさんのだもんね!」

 ガチャ!

「リボーン、これを貰って頂戴」
「お帰り、ビアンキ。チョコエスプレッソ買えた見たいだね」
「ツナ、えぇ…!」
「頂くぞ、ビアンキ」

 リボーンはチョコエスプレッソを飲み、ニヤリと笑う。

「旨いぞ。」
「つ…!」

 こうしてバレンタインデーは終わりを告げる。
 4月に入り綱吉達は2年生に上がる。
 クラスは風紀委員で把握しているので分かっている。
 2年Α組で律都と同じクラスで獄寺達と同じクラスだ。
 綱吉達は掲示板は向かわずに2年Α組のクラスに行く。
 すると京子が話しかけて来る。

「おはよう、ツナ君、リツ君」
「おはよう京子ちゃん」
「おはよう」
「今年度も宜しくね!」
「うん、宜しく」

 HRの時間になり何故かクラス学級委員を決める事になり獄寺の暴走で同じクラスの内藤ロンシャンと対決する事になった。

「……はぁー盛り上がっている所悪いんだけど俺は風紀委員で放課後は忙しいから内藤君にクラス学級委員になって欲しいんだ」
「マジで!?良いの沢田ちゃん!」
「10代目!」
「うん、宜しくお願いするよ」

 こうしてクラス学級委員は内藤ロンシャンに決まりHRは終わる。
 放課後になり綱吉と律都は教室に残り校庭を眺めていた。

 ガラッ!

 綱吉達は扉が開いた方を見ると内藤ロンシャンが立っていた。

「………………」
「ボンゴレ次期10代目、沢田綱吉君」
「……トマゾファミリー次期8代目内藤ロンシャンが俺に何の用?」
「やっぱり気付いていたんだ。用って訳じゃないだけど俺と同じ匂いがするだよね」
「………………」
「なぁ、腹割って話さないか?」
「……断る。俺は律矢や恭弥が傍にいるだけで充分だ」
「アハハハハ!何時かその仮面を引き剥がしてやるよ!」
「……………」

 綱吉は顔を顰め、律都の手を握り教室を出て行く。

「チッ!」
「………………」

 それから綱吉はストレスを少しずつ溜めていく。
 猫被りの内藤ロンシャンと同じクラスで何かと絡んで来るせいで。
 そしてトマゾファミリーに遊び?奇襲?に行った。
 終始猫を被っていたロンシャンに更にイラつく。
 帰りに『また遊びにおいで』と言われたが綱吉は顔を顰めながら帰って行った。

 夏祭りの時季になり綱吉と律都はランボとイーピン、ふぅ太を連れ夏祭りに来ていた。

「人が多いから走らないように」

「「「はぁい♪」」」

 5人は色々と見て回るとイーピンにチョコバナナが食べたいと言われ買いに行くと獄寺と山本が屋台を出していた。

「じゅ、10代目!」
「よぅ、ツナ」
「こんばんは」

 綱吉は話しを聞くと町内会の物を壊してしまってその修理代を稼ぐ為に屋台を出している見たいだ。
 山本からチョコバナナを3つ受け取りランボとイーピンにふぅ太に渡す。
 すると隣のおじちゃんに話し掛けられる。

「お前らもショバ代を用意しておけよ」
「ショバ代って……」
「5万」

 綱吉は後ろを振り返ると雲雀が立っていた。

「恭弥」
「テメー何しに来やがった!」
「ショバ代って風紀委員で押収しているんだけ?」
「そうだよ。活動費としてね。綱吉聞いてなかったの?」
「聞いてたけど、俺は主に書類整理や情報収集が専門だから」
「たまには手伝いなよ」
「今日はランボ達がいるからまた今度ね」
「はぁー仕方がないね」

 山本は雲雀にショバ代の5万を渡すと雲雀は受け取りその場を去って行く。
 すると京子とハルがチョコバナナを買いに来る。

「チョコバナナ下さ~い♪」
「ハル、京子ちゃん?」
「すご~いお店してるの?」
「山本と獄寺君がやってるだよ」
「ツナ君達は?」
「ランボ達の付き添いで祭りに来ただけ……(この様子だと売れ残りが大量に出るな)はぁ……お願いがあるんだけど良い?」
「ハヒ?お願いですか?」
「暫く、ランボ達と一緒に祭りを回っていて欲しいだ」
「ハルは構わないですよ」
「……あのツナ君!最後の花火は一緒に見れるかな?」
「用事が終わったらで良いなら」
「本当!」

 綱吉は携帯と財布を京子に渡す。

「終わったらその携帯に連絡するよ。それからランボ達に夕飯を食べさせて欲しい」
「私が持っていても良いの?」
「うん、対して入って無いから大丈夫。ランボ、イーピン。ふぅ太、悪いだけど京子ちゃん達と一緒に祭りを回っていて欲しいだ」
「分かったもんね!」
「はい!」
「それじゃまた後で!」

 ハル達は人込みに紛れて去って行き、綱吉は獄寺達の方を見る。

「このままじゃ売れ残りが大量に出るよ。バナナを数本チョコを縫って、展示する」
「10代目?」
「早く売って一緒に花火を見るんだよ」

「「!?」」

「分かりました!」
「商売は笑顔が大切だからね。俺は呼び込みするから2人は売り子を律矢はバナナを少しずつ皮を剥いて欲しい」
「分かった」

 こうして綱吉達はチョコバナナを売り始める。
 チョコバナナは順調に売れて行き、残り30本になる。

「ツナ、ワリーんだけど5分だけ席を外して良いか?毎年、屋台のボールの的当てしてんだけどそれやんねーと祭りに来たって感じがしなくって」
「あ、うん。どうぞ」
「景品持ってくっからな♪」
「10代目、すみません!自分もトイレに行って来ます」
「行ってらっしゃい」

 山本と獄寺はそう言って行ってしまう。
 綱吉は律都と一緒に残り30本のチョコバナナを売ってしまう。

「完売」
「綱吉……」
「あぁ、分かってる」

 さっきから自分達を見ている人物がいる事に綱吉は気付いていた。
 そしてわざと隙を作る。
 するとそれは動き、売上金が入った金庫を抱えて走って行ってしまう。

「かかった、律矢。行くよ」
「うん」

 綱吉達は人込みを避け走り、追いかける。
 追いかけて行き、境内に辿り着くとガラの悪い男達が大勢いる。

「あんたがスリの主犯?」
「あぁ!だったらどうする?」
「捕まえさせて貰う。祭りのテキ屋の亭主達から苦情が来てるんだ。」
「たった2人で何が出来る!テメーらやっちまえ!」

 バキッ!

「うわぁ!」
「2人じゃ無い見たいだね?」
「綱吉、久し振りに共闘と行こうか」
「恭弥と一緒の共闘は本当に久し振りだなぁ」
「やる……」
「律矢も?」
「うん……」

 ドカン!!

「!?」
「10代目!」
「助っ人とーじょー♪」

 綱吉はチラリと山本達を見てニヤリと笑う。

「あはは、全員で共同戦線だな」

「「!?」」

 獄寺達は一瞬、驚いた顔をさせ雲雀は平然としている。
 リボーンもいつの間にかに来て綱吉達の戦いを見ていた。
 10分後、全ての男達を倒し終わったらドカンと花火が上がる。

「……花火が始まった」
「ツナ君、あのコレ」
「俺が呼んだんだぞ」
「京子ちゃん、ハル、今日はランボ達の面倒を見てくれてありがとう」
「いえ、2人共とても良い子でした」
「そう……なら良いんだ」

 綱吉は京子から財布と携帯を受け取り、ポケットにしまう。
 そして夜空に浮かぶ花火を見る。

「……………。(灰色だ、あの日から俺の世界は灰色なんだ)」

 綱吉は律都の手を握り締める。



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