光りの大空



 綱吉は獄寺達を無視して律都を連れ、建物を出で雲雀家に向かう。
 綱吉の気配が消えて雲雀は殺気を放ちリボーン達を睨む。

「ヒバリとツナは仲が良かったのなぁ……」
「それに10代目の先程の言葉……」
「僕と綱吉はお互いが右腕なんだよ。風紀委員長の右腕、沢田綱吉。そしてボンゴレ10代目ボスの右腕は僕だ。……キミ達、綱吉に何をしたんだい!」
「……それは」

 リボーンはこれまでの敬意を雲雀に話す。

「襲ったなんて…………。キミ達なんて事をしたんだい!あのまま綱吉の理性がキレてたらキミらは死んでたよ」

「「「なっ!」」」

「……ツナの過去に何があったんだ?」
「……僕からは話す事はない。山本武、獄寺隼人。たださえ遅刻しているんだ。今すぐ学校に行かないと咬み殺す……。今日は見逃してあげる。僕はやる事があるんだ」

 獄寺達は渋々学校に向かう。

「お前がツナの右腕なのか?俺はキャバッローネファミリー10代目ボス、ディーノだ」

 雲雀はディーノを無視してリボーンを見る。

「ねぇ赤ん坊。僕、言ったよね?いつ爆発するか分からないから気をつけなよって?」
「お前はツナがあんなに殺気放つ事を知っていたのか?」
「知ってたよ。キミ達よりずっと一緒にいたんだ。綱吉の全てを知ってる」
「ならお願いだ!ツナの事を教えてくれ!」
「断る!キミ達に教える義理はない今回は良かったような物だけど次はどうなるか分からないよ……。もう2度と綱吉の過去を聞こうなんてしないで。これは忠告じゃない警告だ」

 雲雀はまだ何か言いたそうなリボーン達をその場に残し桃巨会を後にする。
 外に出ると草壁に電話をかけ後始末を頼む。
 雲雀は綱吉の後を追う為に家に帰る。

「なぁリボーン。俺の弟弟子は色々と背負っている見たいだな」
「あぁ、あん時は殺気は一般人が出せる殺気じゃねぇ…………




あの殺気、目は…………人を殺した事がある目だ」


 そして雲雀家に来た綱吉達は………………。


「ツッ君、リッちゃんどうしたの?」
「……恭華さん、暫く律都を宜しくお願いします」

 綱吉はそう言って離れに歩いて行ってしまう。
 律都は綱吉を追おうとするが恭華が引き留める。

「リッちゃん、今はツッ君を一人にさせてあげましょう?」
「………………」

 綱吉は離れにある自分の部屋に向かう。
 そして部屋にある物を手当たり次第壊していく。

 ガチャン!

『このガキが本当にボンゴレの後継者なのか?』

 パリーン!

『あぁ奴が言っていた。コイツを殺せば天下のボンゴレも終わりだ。』

 グシャ!

『たしかコイツの母親って門外顧問、沢田家光の妻だよな?後、双子の弟がいたよな』
『おい、確か2人は一般人って聞いたぞ』
『知るかよ。知らずに嫁いだのが運の尽きだ。このガキも不運だよな。何も知らずに俺達に殺されるだからな!』

 バキッ!

綱吉「あぁァァァ――――――!」

 綱吉は暴れるだけ暴れ崩れるように座り込む。
 そして部屋から離れた場所に数人の使用人が心配そうな顔を顔を顔をして立っている。

「貴女達何をしているの?」
「奥様、綱吉坊っちゃんは……」
「落ち着いた見たいね」
「はい…………」

 恭華と話しているは美代と言い使用人の古株で使用人頭をしている。

「今はそっとしておきましょう。今のツッ君に近寄る事が出来るのは恭弥ぐらいだから。」
「分かりました。」

 そこに雲雀が帰って来る。

「……何してるの」
「お帰りなさい。今、落ち着いた所よ」
「…………そう」
「坊っちゃん、一応これを」

 雲雀はチラリと美代を見て、救急箱を受け取り綱吉の部屋に向かう。

「綱吉入るよ」

 返事はなく、雲雀は障子をあけ部屋に入る。
 中は様々な物が壊れ散乱していた。

「……綱吉」
「……………」

 綱吉は感情をなくしたような顔で雲雀を見る。

「大丈夫だよ、僕がいる。傍にいる、だから安心しな。」
「恭弥…恭弥。俺は………」
「うん」
「俺はもう汚れてる。」
「そんな事ない。綱吉は綺麗だ!」
「違う……俺は汚れてる。人を殺した」
「あれは、綱吉は悪くない。悪いのはアイツらだ!」
「ふっ…………」

 綱吉は泣き出し雲雀に抱き付く。
 雲雀は優しく抱き締め、背中を優しく撫でてやる。
 暫くすると綱吉は眠ってしまった。
 雲雀は綱吉を抱き上げ立ち上がり、部屋を出ると美代が立っていた。

「後は頼むよ……」
「はい」

 雲雀は自分の部屋に綱吉を連れて行きベットに寝かせる。

「……僕じゃ綱吉を癒す事は出来ない」

 すると部屋に律都が入って来る。

「律都……」
「………………」

 律都は綱吉に近寄りベットに座る。

「綱吉」
「律都……」

 雲雀は律都を抱き締める。

「ねぇ、律都。どうしたら綱吉を癒す事が出来るようになるかな。」
「分からない」
「そう……」

 綱吉は数日間、雲雀家に滞在する。
 その間、学校には行かずにずっと道場に籠り雲雀とバトルを繰り返して過ごす。
 綱吉達はその後家に帰るが少しだけ獄寺達と距離が出来た。
 そして今日は綱吉と律都は病院に来ている。

 中に入ると医院長先生がニコリと笑い話しかけて来る。

「こんにちは、綱吉君、律矢君」
「医院長、こんにちは」
「今日は雲雀君のお見舞ですか?」
「はい」
医院長「では、ご案内します」
「良いんですか?忙しいんじゃ……」
「気にしないで下さい。こうして病院を運営出来るのは貴方方のお陰なのですから」
「俺は何もしてないですよ」
「何を言ってるんですか!毎年沢山の寄付金を寄付して頂いてるじゃないですか」
「そうですが……」

 綱吉が毎年並盛中央病院に寄付している理由は雲雀率いる風紀委員が暴れボロボロになった人間が運ばれ治療費が膨大にかかるからだ。
 そうしている内に病室に着き医院長先生は帰って行く。
 雲雀の病室をノックすると中から声が聞こえ病室に入る。

「やぁ、どうしたんだい?」
「お見舞」

 綱吉は果物と数冊の本を棚に置く。

「……ごめん」
「綱吉?」
「無茶させたから……」

 雲雀はクスリと笑いベットの近くにいる綱吉の腕を引っ張りベットに引きずる。
 綱吉は驚いた顔をさせ雲雀を見る。

「僕はキミの右腕だよ。綱吉は僕の右腕だ。それにこんなの直ぐに治るよ」
「恭弥……」

 綱吉は腕を雲雀の腰にまわす。
 雲雀は優しく綱吉の頭を撫でてやる。
 綱吉は暫くそうしていて家に帰る。
 それからまた数日が経ち綱吉は体育の授業を受けている途中だ。

「ツナ行ったぞ―――!」
「………………」

 綱吉はわざとミスりボールは校舎校舎の方に飛んで行く。

「ごめん。ボール拾って来るから他のボールで続けていて」

 そう言って綱吉はボールを拾う為にその場を離れて行く。

「はぁー。めんどくさい」

 すると目の前に小学生位の男の子がいてボールが浮いていた。
 男の子は何かを言っているが聞き取れない。

「やっぱりツナ兄の情報は掴めないや」

 男の子は懐からから大きな本を取りだし何かを書き始めた。
 綱吉は男の子を見つめていると綱吉に気づいた男の子は綱吉に近寄って来る。

「あぁ!わぁい!会えた会えた!」
「………………」
「体育してると思って遠慮してたんだ僕!」
「キミは誰?」
「勝手にツナ兄って呼ばさせて貰ってるよ!これからもそう呼んでも良い?」
「……どうぞ」

 ビクッ!

「あっ!さいなら!」

 男の子は慌てて走って行ってしまう。
 すると男3人組が現れ男の子を追い掛けて行く。

「………………」

 綱吉は無視して体育に戻って行く。
 そして学校が終わり、律都と一緒に帰ると学校で会った男の子と顔に幼虫をごっそりと付けたリボーンが一緒にいた。

「お帰りツナ兄、リツ兄」
「ただいま?」
「……ただいま」
「面白そうだから俺があげたんだぞ」
「………………」

 綱吉はチラリとリボーンを見て溜め息を吐く、そして荷物を机に置く。

「ボンゴレ10代目ツナ兄!僕を匿って下さい!」
「……どうして俺なんだ?」
「それは………」
「俺より強い奴は他にもいるかも知れないだろ」
「………………」

 少年は泣きそうな顔をさせ綱吉を見る。

「助けてやればいいだろ?」
「………ハァ、分かったよ」
「?!…ありがとうツナ兄!」
「そう言えば、コイツはランキングを作らせたら右に出る奴は居ないというランキングフゥ太っていう情報屋だ」
「(あぁ、そんな奴いたなぁ)それでマフィアに狙われていると」
「うん……」
「早速嗅ぎ付けられた見たいだぞ」

 綱吉は窓から外を見ると昼間に見た3人組の男達がいた。

「ハァ、メンドクサイ」
「どうするだ?」
「近所迷惑だから片付けて来る」
「やつらはトッドファミリーはマフィアの中で凶暴性7位だよ!」
「………………」

 綱吉はフゥ太の頭を撫で、家の外に出る。
 男達は綱吉に気づき近寄って来る。

「ランキングフゥ太は渡さない」
「んだとガキ!」
「今ならソイツを渡せば許してやる。さぁ、ランキングフゥ太を渡せ!」
「断る」

 男達は殴り掛かって来て綱吉は隠してある愛用の警棒を取りだし防御する。
 そして素早く動き男達を気絶させ縄で縛り捕まえる。

「弱い…………」

 綱吉は携帯を取りだし警察に電話をかけ、男達を逮捕させる。
 勿論誘拐未遂の証拠を付けて。

「ツナ兄凄いや!でも、どうしてランキングが出来ないだろう?」
「さぁ?」
「……ツナ兄だけじゃないんだ。リツ兄もランキングが出来ない」
「………………」
「ツナ兄はもしかして情報屋だったりする?」
「何故?」

 綱吉は一瞬、顔を顰めるが直ぐに戻しフゥ太を見る。

「僕がランキングが出来ないのは情報屋をやってる人物だけなんだ」
「へぇ……」
「不思議だな…………」
「………………」

 こうしてランキングフゥ太も居候の一員になり沢田家は賑やかになる。
 2月に入り、今日はバレンタインだ。
 学校に行くと女子生徒達はソワソワとしていた。
 山本や獄寺の周りには女子達が集まりチョコを渡していた。

「サンキュ!」
「ケッ、着いて来るな!」
「………………」

 綱吉と律都は自分達の席に座り授業の準備をする。
 すると数人の女子達が綱吉達の所に来る。

「沢田綱吉君!」
「何?」

 綱吉は声をかけて来た女子生徒を見ると女子生徒は顔を赤くさせていた。

「これを貰って欲しいの!」

「「「?!」」」

「っ……!」
「俺に?」
「うん……」
「……ありがとう」

 綱吉はチョコを受け取り持っていた本を読み始める。
 女子生徒は顔を綻ばさせて走って行く。
 その後を一緒に居た女子生徒達が追いかけて行く。

「ダメツナがチョコを貰ったぞ!」
「何でだ?」
「あのダメツナが……」
「(ダメツナ、ダメツナって煩いなぁ)」

 その後も綱吉は女子生徒達にチョコを貰って行く。
 男子生徒達は驚いた顔をさせ綱吉を見ていた。
 放課後になり綱吉達は帰る準備をして教室を出て行き、応接室に向かった。

「恭弥、いる?」
「綱吉、ノックしてから入るように言ってるだろ」
「ごめんね?」

 綱吉と律都は鞄からラッピングされた小箱を雲雀に渡す。

「ハッピーバレンタイン」
「えっ?」
「今日はバレンタインだから作って来たんだ」
「作った……」
「味は保証するよ。律都と一緒に作ったんだ」
「ありがとう、じゃあホワイトデーは僕が返さないと行けないね」
「楽しみにしてる」
「食べてもいいかい?」
「勿論」

 雲雀はラッピングをほどいて行くと綱吉のは生チョコで律都はチョコクッキーだ。
 雲雀は1つずつ食べていくと程好い甘さで自分好みの味をしていた。

「美味しい……」
「良かった。じゃあ、今日はもう帰るね」
「うん、チョコありがとう」
「どういたしまして」

 綱吉は律都の手を握り家に帰って行くとフゥ太に出迎えられる。

「お帰りツナ兄、リツ兄!」
「ただいま」
「イーピンご免なさい!もーしません」

 ランボはイーピンに意地悪をして怒られていた。
 綱吉は玄関に二足の靴があるのを見て首を傾げる。
 するとリビングから京子とハルが顔を出す。

「ツナ君、リツ君、お邪魔してます」
「本当は昨日2人で作る予定だったんですけどハル、テストがあって今日にして貰ったんです」
「へぇ……どうして俺ん家で?」
「ビアンキティーチャに教えて頂くんです」
「先生カッコいい!」

 ビアンキはメガネをして泡立て器を持っていた。

「……ビアンキ、駅前のコーヒーショップにバレンタイン企画でチョコエスプレッソが限定50杯で販売してるんだ。それを男性にプレゼントすると両思いになるってジンクスがあるの知ってる?」
「……?!」
「……まぁ、まだ残ってるか分からないけど」
「貴女達、ご免なさいね!私、用事を思い出したから先に始めて頂戴!」

 ビアンキはエプロンを脱ぎ出掛けてしまった。



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