光りの大空



 ピンポーン♪ ガッチャ!

「医師って貴方だったのね。シャマル君」
「お久し振りですね。奈々さん」
「ママン、シャマルを知ってるのか?」
「えぇ、1年前にちょっと色々お世話になってね」
「???」

 リボーンは首を傾げる。

「シャマル君、ツッ君が高熱を出したの。見て貰っても良いかしら」
「えぇ、大丈夫ですよ」

 シャマルは2階の綱吉の部屋に向かうと中には律都がいた。

「お前さんもいたのか」
「………………」
「はぁ…はぁ……何でシャマルが……」
「ヨッ、ボンゴレ坊主。リボーンに呼ばれて来たんだよ。起きられるか?」

 綱吉はだるい身体を起こしてベットに座る。
 シャマルは綱吉の身体を見て、診察する。

「風邪だな。数日で治るだろう。……後、また色々溜めてるだろ」
「………………」
「はぁー。変わらないなぁお前さんも」
「煩い……俺の勝手だろ」
「まぁ、無理だけはするなよ。奈々さんが心配する」
「分かってるよ。俺にはやる事があるんだ」

 シャマルは綱吉の頭をクシャクシャに撫でる。

「たまには肩の力を抜け。そうすれば少しは楽になる」
「……分かったよ」
「薬は奈々さんに渡しておく。じゃまたな」

 シャマルは綱吉の部屋を出て行く。

「ただの風邪なので大丈夫ですよ。薬を置いていくので飲ませて下さい」
「ありがとうシャマル君」
「いえ、俺はこれで……リボーンちょっと良いか?」
「何だ?」
「話しがあるんだ」

 シャマルは奈々に挨拶して沢田家を後にする。
 リボーンはシャマルを追う。

「話しって何だ?」
「……詳しくは俺から言えないがボンゴレ坊主は闇を抱えている」
「闇?」
「ボンゴレ坊主は心に大きな闇を抱えている。信頼を得られない限りは本心をさらけ出さないだろう」
「………………」
「まぁ頑張れよ」

 シャマルはそう言って去って行く。
 綱吉は5日間寝込み、ようやく治り学校に行くようになる。

「そう言えば今日は委員会の部屋割りを決める日だったな」
「綱吉、部屋変わるの」
「変わらないよ。恭弥は応接室を気に入っているからね」

 綱吉はそう言って律都の手を握る。

「プリントに記してあるようにコレが2学期の委員会の部屋割りになります」
「え―――ッなにこれ?!応接室を使う委員会がある。ずるい、どこよ!」
「風紀委員だぞ!」
「はっ?!」
「何か問題でもある?」
「いえ、ありません!すっスミマセン、ヒバリさん!」

 女子生徒はそう言って頭を下げる。

「じゃ――続けてよ」
「でも、おかしくねぇ?応接室を委員会で使うってのは」
「のっちもそー思う?」
「インボー感じちゃうよ」
「キミ達は仲良し委員会?代表は各委員会1人の筈だけど……」

 委員会会議が終わり。

「ヒバリにたてついたからじゃない。ヒバリの前で群れたからこうなたんだ」
「うぅ……」

 雲雀は緑化委員達が風紀委員にやられているところにを見て欠伸をして見下ろしていた。
 それをリボーンは離れた場所で見ていた。

「雲雀恭弥。面白ぇーなぁ」

 綱吉は律都と一緒に屋上に来ていた。
 そこにリボーンと獄寺、山本の3人で来る。

「おい、ツナ。ファミリーのアジトを作るぞ」
「へー面白そうだな。秘密基地か」
「子供か、おめーは!アジトいーじゃないスか!ファミリーにアジトは絶対必要っスよ!」
「決まりだな」

 リボーン達は綱吉の意見を聞かずに話しを進めていく。

「行くぞ、ツナ」
「後から行くよ。先に行ってて」
「はぁー。仕方がないなぁ。場所を書いてある紙を渡しておく。必ず来いよ」
「分かったよ」

 綱吉は受け取った紙を見ないでポケットにしまう。 
 リボーン達は綱吉達を屋上に残して出て行く。

「はぁー。本当にストレスが溜まる…何で勝手に話しを進めるかな。普通は相手の意見も聞くのが当たり前なのに………」
「…綱吉」
「……律都。俺はまだリボーンや獄寺君達を受け入れられない」

 綱吉は律都の手を握る。
 そしてリボーンから預かった紙を見る。

「アジトの場所って応接室って……何を企んでいるんだ?とりあえず応接室に行こうか」
「うん」

 綱吉達は屋上を出て行く。
 雲雀は応接室で1人でいると誰かが近づいて来る気配がして扉を見るとノックもしないで人が入って来る。

「へーこんな部屋があるとはねー」
「(この2人、最近綱吉にまとわりついている)」
「(コイツは…風紀委員長でありながら不良の頂点に君臨している、ヒバリこと雲雀恭弥!!!)」
「何だアイツ?」
「獄寺待て……」
「風紀委員長の前では煙草消してくれる?まどちらにせよただでは帰さないけど」
「んだとテメェー!!」

 ビュッ!  ビッ

「消せ…」

 雲雀はトンファーで煙草の火を消す。

 バッ!

 獄寺は後ろに下がる。

「(聞いた事がある……ヒバリは気に入らねー奴がいると相手が誰だろうと仕込みトンファーでめった打ちにするって……)」
「僕は弱くて群れる草食動物は嫌いだ。視界に入ると咬み殺したくなる」

 ゾクッ!

「(コイツ……)」
「(やっかいなのに捕まったぞ)」

 雲雀はトンファーを構え、そして獄寺に突っ込んで行く。

「1匹」
「っつ?!」

 獄寺は容赦ない攻撃を受け床に倒れる。

「テメェー……!!!」

 山本は雲雀を睨む。

 チャキ・・・ン

 雲雀は容赦ない攻撃を山本に仕掛けるが山本は持ち前の運動神経で避けていく。

「怪我でもしたのかい?右手庇ってるね」
「!!!」
「当たり」

 雲雀は山本のお腹を思いきり蹴り壁まで吹き飛ばす。

「2匹」

 ガッチャ!

「終わった見たいだね」
「綱吉、一体どう言う積もりだい?」

 雲雀は綱吉を睨み、綱吉はそんな雲雀を見ても平然としている。

「どうせ、リボーンは俺達を恭弥にぶつけて力をつけさせたいと思っていたんじゃない」

 綱吉はそう言って窓を見るとそこにはリボーンがいた。

「良く分かったな俺がいる事に」
「まぁね…とりあえず山本達を連れていくよ。恭弥また後でね」
「うん」

 綱吉は倒れている2人を引きずり応接室を出て行く。
 応接室に残ったのは雲雀とリボーンの2人だけだ。

「お前、思ったとおり強いな。ツナのファミリーに入れようと思って実力を見たかったんだ」
「ファミリー?あぁ守護者の事かい?」
「何でそれを知っているんだ?」
「綱吉に誘われているからね。雲の守護者として」
「何だと!それ本当か?」
「勿論だよ」
「そうか、ところでお前達はどんな関係だ?」
「お互いに大切な存在だよ……そして右腕」
「そうか。幾つか質問良いか?」
「どうぞ。僕は急がしいんだ。今の内に聞いておかないと僕はもう答えないよ」
「分かった。ツナはどうしてる他人と壁を作る」
「……綱吉は簡単には他人を信じない。まぁ風紀委員達はある程度は信頼をしている」
「それはどうしてだ?」
「風紀委員は全員、僕が選んだ奴らだからね。それに綱吉は風紀委員会の副委員長。部下を信頼するのは当たり前だよ」
「………………」
「僕から見てキミ達の間にある壁はとても厚く硬い。それを壊すのは1ヶ月…いや、1年はかかるかも知れないよ」
「っつ~?!そんなにか!」
「うん」
「どうしたら壁は壊れる?」
「さあね…僕から1つ質問良いかい?」
「何だ?」
「キミ、綱吉に何を言ったんだい?相当機嫌が悪い見たいだけど?」
「俺は別に何も言っちゃいねぞ」
「化け物なんて言って無いだろうね?」
「…あれは例え話しだそ?」

 雲雀は顔を顰める。

「っつ~?!綱吉にとってそれは禁句だよ!もう2度と言わないで!」
「…分かったぞ」
「僕から1つだけ忠告してあげる。綱吉には爆弾が眠っている。いつ爆発してもおかしくない。気をつけなよ。もし爆発したら大変な事になる」
「それは、ツナの闇が関係しているのか?」
「……さあね」
「最後に1つ。ツナが壁を作るようになったのは何時からだ?」
「5年前からだよ。忠告はしたよ。話しはこれで終わりだよ」

 雲雀は机に座り風紀委員の書類を片づけ始める。
 リボーンは仕方なく出て行く。

「…僕だって色々としたけど綱吉の闇は晴れる事はなかった。1年前の事件も僕は何も出来なかった」

 雲雀は立ち上がり窓に近寄り空を見ると青空が広がっていた。

 コンコン! ガッチャ!

「恭弥、大丈夫?」
「大丈夫だよ。あの2人はどうしたんだい?」
「とりあえず手当てして来たよ」
「あの2人は弱い。この先、足手まといにしかならないよ」
「そうだね。獄寺君はマフィアだけどまだ本当の意味ではマフィアになっていない。山本も一般人だから弱い。俺はそんな2人には命を預ける事は出来ないよ」
「安心しなよ。綱吉の後ろは僕が守る」
「うん、ありがとう」



 9月に入り並中に体育祭の時季が来る。
 綱吉達は参加はしない積もりだったが獄寺達に引っ張り連れられて参加する事になる。

「(メンドクサイ)」
「……………」
了平「極限必勝!!!これが明日の体育祭での我々のA組のスローガンだ!!」

オオオオオオーー!!!!!

「勝たなくては意味がない!」
「うぜ―――っスよね。あのボクシング野郎」
「…………………」
「まーまー」
「フツーにしゃべれっての。ったく!」
「今年も組の勝敗を握るのはやはり棒倒しだ」
「ボータオシ?」
「1年は2・3年の引き立て役」
「例年、組の代表を棒倒しの総大将にするならわし。つまり俺がやるべきだ。だが俺は辞退する!!」

「?!」

「え゛!!」

「俺は大将であるより兵士として戦いたいのだ!」

「「「「「(単なるわがままだ!!)」」」」」

「だが心配はいらん……俺より総大将に相応しい男を用意してある」
「え?」
「笹川以上に相応しい男だって?」
「1年Aの沢田綱吉だ!」

「はぁ?」

「「「なっ!?」」」

「おおお!」
「10代目の凄さを分かってんじゃねーかボクシング野郎!」
「賛成の者は手を挙げてくれ!過半数の騎手で決定とする!!」
「1年にゃムリだろ」
「俺反対~」
「負けたくないもんねぇ」
「つーか冗談だろ?」


 ざわ ざわ ざわ

「手を挙げんか!」

がーーん

「「「(命令だ!)」」」

 ギロ

「うちのクラスには反対の奴はいないよな」
「おい、獄寺っ」

 ビクッ! ビク!

「「「こえ~!!」」」

 1年A組の生徒達は獄寺のあまりの恐さに手を挙げる。
 そして女子生徒達は獄寺の意見に賛成する。

「この勢いならいずれ過半数になるだろう!!よしっ、決定」
「俺の意見は聞かずに何を勝手に……」 
「棒倒しの大将は沢田綱吉だ!」
「すげ~なツナ!」
「さすがっス」
「ビビったっス」

 綱吉は机の上にいるリボーンを見る。

「いや、俺はやらないよ。律矢、行くよ」
「うん」

 綱吉と律都はまだ集まりが終わってないのに教室を出て行ってしまった。

「10代目、どちらに!」
「…秘密」
「ツナ……」

 綱吉達は応接室に向かう。

 ガッチャ!

「どうしたんだい?」
「暫く此処にいても良い?」
「構わないよ」
「ありがとう、恭弥。はぁー。明日の体育祭、本当にメンドクサイ」

 綱吉達はソファーに座る。



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