光りの大空



 バァーン!

「綱吉君!」

 9代目はドアを乱暴に開け綱吉達に近づく。

「大丈夫かい!」
「うん、大丈夫だよ」
「その娘は?」
「誘拐された律都。やっと助けられた」
「しかしどうやって?」
「…律都の声が聞こえて気が付いたら律都が目の前にいて、律都を連れて逃げて来たんだ。その途中で律都を連れ去った男と多分……誘拐の男を見た」
「何だって!一体誰だい!」
「分かんない」
「そうか…建物の場所は覚えているかい?」
「うん」
「明日の朝、案内して貰えると嬉しいんだが。大丈夫かい?」
「うん!」
「家光には私が連絡して迎えに来て貰えるようにしておくよ。安心しておくれ」
「ありがとうございます」
「いや、大丈夫だよ。さぁ疲れただろう。夕飯の準備が出来るまで部屋でお休み。コヨーテ、綱吉君達を部屋に案内してあげてくれるかい?」
「分かりました。お嬢ちゃんは俺が連れて行こう」
「ありがとうございます」

 コヨーテは律都を抱き上げ、綱吉を部屋に案内する。
 入れ違いに9代目の守護者達が入って来る。

「9代目、彼らが家光の子ども達なのか?」
「あぁ、そうだよ。男の子が綱吉君で女の子が律都ちゃん。綱吉君は2年前の事件で感情を無くしていたが律都ちゃんを助けてから戻った見たいだね」
「しかしどうやってイタリアに?」
「それは分からない。綱吉君に聞いても分からないみたいだ」
「そうか……家光に連絡を入れないといけないな」
「そうだね。今は日本では夜中だから数時間後に家光に連絡しよう」

 そして時間を少し戻り綱吉が消えた後の日本では。

「嫌、嫌――――――ぁ!」
「奈々!奈々落ち着け!綱吉は必ず見つける!だから落ち着くんだ!」

 その時沢田家の近くにいた、雲雀は奈々の悲鳴を聞き慌てて沢田家に向かう。

「奈々!」
「恭弥か…綱吉が消えた……」
「何だって!どうして!律都が誘拐されて今度は綱吉まで……」

 雲雀は顔を青くしてその場に座り込んでしまった。

「綱吉……どうして!どうして、俺達の子ども達がこんな事ばかり起こるんだ!」

 そして綱吉が消えて一夜が経ち、朝が来る。

「ツッ君……リッちゃん何処にいるの?」

 奈々は涙を流し2人の写真を握り締めていた。

「奈々……」
「恭君、大丈夫よ。2人は必ず戻って来るわ」
「うん」

 その時、家光の電話がなる。

「はい」
『私だ、家光。キミと奈々さんに今からイタリアに来て欲しい」
「私と奈々がですか?」
「あぁキミ達、親子に良い朗報だ。綱吉君と律都ちゃんが今ボンゴレ本部にいる」
「本当ですか9代目!そこに綱吉と律都が居るんですか!」
「あぁ、いるよ。成田空港にボンゴレプライベートジェットを用意してある。今すぐ成田空港に向かってくれ」
「分かりました。ありがとうございます!」

 そう言って家光は電話を切る。

「家光さん、ツッ君とリッちゃんが見つかったの?」
「あぁ、今から一緒にイタリアに迎えに行こう!」
奈々「っ…はい!」

 奈々は出かける準備を始め、雲雀は家光を見る。

「ねぇ、僕も一緒に連れてって」
「連れてって、恭弥お前、明日学校がある日だぞ?」
「分かってる!でも2人は僕の大切な幼なじみなんだ!だから一緒に連れてって!」
「はぁ…とりあえず恭華さんに連絡して聞いて見ろ。学校を休んで良いか」
「分かった」

 雲雀は携帯で母親に連絡する。

「もしもし?」
「恭弥だけど。2・3日、学校を休んで良い?」
「理由は?」
「綱吉と律都が見つかったんだ。それで迎えに行きたい」
「リッちゃんが見つかったの!それにツッ君も!」

 雲雀の母親には綱吉がいなくなった事を話していた。

「うん、だから行かせて欲しい」
「分かったわ。行って来なさい」
「ありがとう」

 雲雀は電話を切る。

「行っても良いって」
「そうか……じゃあ出発しよう!」
「はい!」
「うん」

 3人はタクシーに乗り、成田空港に向かう。
 そしてボンゴレが用意したプライベートジェットに乗りイタリアに向かう。
 イタリアでは朝日が登り朝になり綱吉は隣に眠っている、律都を見る。

「暖かい。やっと、やっと見つけた。もう離さない。俺の大切な半身で妹の律都」

 コンコン

「朝早くすまない。入っても大丈夫かい?」
「はい」

 ガチャ!

「綱吉君、家光には連絡をして今日のお昼過ぎにここにきてくれるよ」
「ありがとうございます。あの…昨日、言ってた律都を誘拐した犯人を本当に捕まえてくれるんですか?」
「勿論だ。綱吉君、キミさえ良ければ案内してくれるかい」
「はい!」
「じゃあ出発しよ」

 9代目と綱吉はボンゴレ本部を出て綱吉の案内でイタリアの外れにある森に向かう。
 森には一本道しかなく車はその道を走り進んで行く。
 暫く走ると建物に着く。
 入口には数人の男達が立っていた。

「…ここに律都がいたんだ」
「ありがとう綱吉君。キミはここで待っていて欲しい。後は私に任せて欲しい」
「はい、お願いです!犯人を必ず捕まえて下さい!」
「分かってるよ。必ず捕まえよう」

 9代目は車を降り、守護者と共に建物の方に歩いて行く。

「行こう」

「「「Si!」」」

 9代目達と律都を誘拐したマフィア達の戦いが始める。
 1時間後、戦いが終わり悪徳マフィアは壊滅する。
 しかし肝心のボスと数人の幹部達を逃がしてしまった。
 そしてアジトにいた30人程の子ども達を保護した。
 中には感情を無くした子どもや人間不振になっている子どももいた。

「これは酷い……」
「許せないな」
「子ども達は全員保護しよう。しかし、ボスを逃がしたのはいたいね。まさか影武者を用意しているなんて」
「そうですね。しかし数年は活動は出来ないでしょう」
「そうだね。●△■マフィアの残党を徹底的に捕まえるんだ」

「「「Si!」」」

 9代目達は車に戻り綱吉に謝る。
 あと少しのところでボスを逃がしてしまった事を、そして必ず捕まえて見せると約束する。
 しかしその約束は果たされる事は無いだろ。
 数年後、綱吉にまた運命の悪戯が襲いかかるだろう。

 綱吉達はボンゴレ本部に戻る事にした。
 綱吉は部屋で休み、お昼を食べ、律都の傍で手を握り律都を見ていた。
 夕方近くになりボンゴレ本部に一台の車が止まり中から沢田夫婦と雲雀恭弥が降りる

「ここにツッ君とリッちゃんが」
「あぁ、行こう。奈々、恭弥」

 3人は屋敷の中に入ると1人の男が家光に近づく。

『来たか家光』
『コヨーテか?何でお前がここに?9代目の側に居なくって大丈夫なのか?』
『その9代目にお前達が来たら綱吉君達の所に案内するように言われているんだ』
『感謝する。綱吉と律都は何処に?』
『案内する。ついて来い』
「奈々、恭弥、コヨーテが綱吉達の所に案内してくれる見たいだ。行こう」
「はい!」

 4人は歩き、数分歩くと1つの部屋の前に着く。
 コヨーテはノックすると中から声が聞こえ部屋に入る。

「綱吉君、ご家族が来たよ」

 綱吉は奈々と家光、そして雲雀を見る。

「父さん、母さん、恭君」
「っ…?!ツッ君!本当にツッ君なのね!無事で良かった!」
「綱吉、心配したんだぞ。でも無事で良かった」
「綱吉」
「恭君も来てくれたの?」
「当たり前でしょ。僕達は幼なじみなんだから。無事で安心したよ。それで律都は?」
「ここに眠ってる。助けてから一度も目を覚まさないんだ……」
「律都、良かった。無事で」
「リッちゃん。私達の娘」
「綱吉、お前、感情が戻った見たいだな。良かった」
「うん、心配かけてごめんなさい」
「いや、大丈夫だ。良かったな綱吉、律都が帰って来て」

 綱吉は2年振りにふわりと笑い頷く。
 それを見た、家光達は嬉しそうに笑い合う。

 コンコン

「はい?」
「入っても大丈夫かね?」
「9代目!どうぞ」

 9代目と数人の守護者達が入って来る。

「お久しぶりですね奈々さん」
「ティモッテオさん。お久しぶりです」

 奈々は家光から、自分はマフィアで門外顧問でNo.2の地位をもっている事を聞いていた。

「今回、律都ちゃんを誘拐したのは●△■マフィアでそこでもしかしたら律都ちゃんはなにかをされていたかも知れない。検査して見たが身体には異常はなかった見たいだが」
「そんな……どうしてリッちゃんがそんな目に!」
「……………」
「綱吉、どうしたの?」

 雲雀は綱吉が眉間に皺を寄せ顔を顰めていたので話しかけた。

「……律都の身体には沢山の傷痕があった」

「「「「なっ…!?」」」」

「本当か綱吉!」
「うん、でも治してくれた。ヒカルが」
「ヒカル?誰だ?」
「それは……」
「ツッ君?」
「まさか……」
「家光さん?」
「綱吉、律都を助けてくれたのは神官と名乗る人物か」
「多分、ヒカルは部下って言ってた」
「そうか」

 家光は真剣な顔をして9代目達を見る。

「9代目にお話しがあります。これは沢田家の秘密に関わる話しです」
「なんだね?」
「この事は誰にも漏らさないで下さい」
「分かったよ。必ず守ろう。コヨーテ達も良いね」

「「「「「「Si!」」」」」」

 家光は律都の秘密を話し始め、9代目達は驚きながら話しを聞いていく。
 そして律都を1人の少女として見守る事を誓ってくれた。

「昨日の地震とかは律都の力が暴走したんだ。母さん、律都の事、怖くなった?」
「例え、どんな力をもっていてもリッちゃんは私の娘よ。ツッ君も私の大切な息子よ」

 奈々はそう言って綱吉を抱き締める。
 その時律都が目を覚ます。

「……………」
「律都!」
「……………」

 律都は無表情で綱吉を見る。
 そんな律都を綱吉は驚きながら話しかける。

「律都、俺の事、分かる?」
「……………」
「父さんや母さんの事は分かる?」
「……………」
「っ……?!」

 綱吉は悔しくって涙を流す。
 確かに助けた時は自分の名前を読んでくれた。
 しかし今の律都は自分の事が分からず名前すら読んでくれない。

「アハハハハハハ――――――!」
「つ、綱吉?」
「アハハハ、アハハハハハハ!」
「ツッ君?」
「綱吉どうしたんだ!」

その瞬間、綱吉の表情が消える。

「「「っ……!?」」」

綱吉「見つけて、必ず殺してやる……」

 その声は地を這うような低音でとても低い声だった。

「綱吉……」

 雲雀は優しく綱吉を抱き締める。
 奈々もそんな2人を抱き締める。

「ツッ君、恭君、リッちゃんは大丈夫よ。必ず笑ってくれるようになるわ。必ず……」
「そうだとも。もう一度、最初から家族をやり直そう。そして今度こそ律都をみんなで守ろう!」
「うん」
「勿論だよ!」

 綱吉は奈々と雲雀から離れて律都に近寄る。

「俺の名前は沢田綱吉。キミの名前は沢田律都。俺の双子の妹だよ」
「………………」
「僕の名前は雲雀恭弥。綱吉と律都の幼なじみだよ」
「私の名前は沢田奈々。リッちゃんの母親よ」
「俺は沢田家光。綱吉と律都の父親だ」
「…綱吉?」
「っ…!そうだよ。俺の名前は綱吉だよ!」

 律都は綱吉に手を伸ばして洋服を握り締める。
 綱吉はこの時、決意する。
 必ず犯人を捕まえて後悔させてやるとそして綱吉は様々な知識や技術を独学で学び世界最高峰の情報屋になる。

 名前はジェネラルドッグ、そして綱吉達は成長して中学生になる。
 綱吉、律都、共に12才になり並盛中学校にに入学する。

「ツッ君、リッちゃん!入学おめでとう」
「ありがとう母さん。父さんは?」
「式が終わる迄には来ると思うわ」
「……母さん。ありがとう」
「リッちゃん。入学おめでとう。ごめんなさいね。本当は女の子の制服。着せてあげたかったのに男の子の制服で」
「大丈夫。綱吉とおんなじ制服で」

 律都は無表情で話していく。
 あれから5年が立つが律都の感情が戻る事はなかった。
 綱吉達は律都に感情が戻るように色々と試してきたがどれも失敗してきた。

 律都はそれでも綱吉達を家族として受け入れてきた。
 しかしそれ以上の人間達とは一切関わらないようにしている。

「さぁ、入学式が始まる時間になるわ。学校に行きましょう!」

「「はぁい(うん)」」

 3人は家を出て並盛中学校に向かう。
 校門の所には幼なじみの雲雀が立っていた。

「やぁ、おはよう。綱吉、葎矢。奈々もおはよう」
「おはよう、恭弥君」
「おはよう」
「おはよう恭君」

4 人はそれぞれ話しをし、それを見ていた生徒達は驚く。

「誰だあいつら!」
「あの雲雀さんと話しているなんて!」
「キァーあの男の子達格好いい!」
「えぇ!そうかな?」
「でも、誰なんだろう?」



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